私立中高一貫校の学校マップ 在校生の母親3[中学受験]

母親どうしの交流を重視するか否かは、保護者の考え方により違いはあると思う。学校においても保護者どうしの交流を重視しているところとそうでないところがあるようだ。できれば、同じ考え方の保護者が多く、学校の方針も保護者の考え方と一致しているところを志望校にしたいところだろうが、学校内部の情報なので、在籍生の保護者に聞かなければ、なかなかわからない。一つの学校で母親どうしの交流がどの程度かがわかったとしても、基準がなければ、相対的に多いかどうかわからないのである。

「在籍者アンケート」で「クラス保護者懇親会は年にどのくらいの頻度?」という質問を行った。ほとんどの学校は、クラス保護者懇親会は年に「1~3回行う」であった。それよりも多い学校は男子校で8%、女子校が22%、共学校が17%で、男子校はクラス保護者懇親会を行う頻度が女子校・共学校に比べて低い傾向があった。
男子校では、攻玉社・駒場東邦(あいうえお順、以下同様)、女子校では吉祥女子・共立女子、共学校では渋谷教育学園渋谷でクラス保護者懇親会を「4~6回行う」を選択している在籍者が多い。

次に「母親どうし、どのくらい連絡を取り合う?」という質問を行った。全体的には、男子校はクラス保護者懇親会が少なかったが、その分を補うためか母親どうしの連絡は密で、「1.かなり連絡を取り合うことが多い」男子校は33%で、女子校の32%・共学校の33%と同程度である。
男子校では浅野・栄光学園・開成・京華・芝、女子校では桜蔭・共立女子・清泉女学院・東京家政学院、共学校では国学院大学久我山・渋谷教育学園渋谷・西武学園文理で「かなり連絡を取り合うことが多い」を選択している保護者が多い。

また、「母親どうしの食事会の頻度は?」という質問を行った。年に18回以上を「頻度が高い学校」とした。
男子校では浅野・栄光学園・開成・芝、女子校では清泉女学院・富士見で頻度が高く、共学校では頻度が高い学校はなかった。一方、母親どうしの食事会が年に3回以下と頻度が低い学校は男子校では本郷・武蔵、女子校では跡見学園・江戸川女子・晃華学園・女子聖学院、吉祥女子、共学校では江戸川学園取手・栄東・渋谷教育学園渋谷・慶応義塾湘南藤沢がある。
全体的には、母親どうしの食事会の極端に頻度が高い学校は男子校に多く26%で、共学校は0%、女子校は男子校と共学校のちょうど中間で13%だった。全体の平均では年に9.3回。

男子校は、クラス保護者懇親会は少なかったが、連絡を取り合うことが多く、食事会を多く行っていることがわかる。男子校・女子校・共学校によっても母親どうしの交流は違いがあるようだ。このように在校生の母親の情報で、在校生の家庭文化から学校の校風までをイメージすることができる。学校の校風が「我が子に合った学校」は、我が子にとって居心地が良く、良い友達がたくさんできる学校と考えられないか。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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