「我が子に合った学校」に多い中間的な教育方針・校風[中学受験]

学校の教育方針は「学習面重視」「精神面重視」「学習面重視と精神面重視の中間」(以降「中間の教育方針」)に、同様に校風は「面倒見重視」「自主性重視」「面倒見重視と自主性重視の中間」(以降「中間の校風」)に大別できる。これまでの経験で、実際には「中間の教育方針」「中間の校風」をとっている学校が多いのではないかと思い、「在籍者」の保護者アンケートで実態を調査した。

回答は、「中間の教育方針」は、入学前の予想では33%、入学後の実態では43%になった。「中間の校風」は、予想が13%、実態が32%になった。やはり、中間的な教育方針・校風の割合は高い。また、両方とも入学後に割合が増えており、入学前に保護者が思ったよりも、「中間の教育方針」「中間の校風」をとっている学校が案外多いことがわかった。

「在籍者」の保護者アンケートで、「中間の教育方針」「中間の校風」は、どのような事例があるかを調査した。
「中間の教育方針」で回答が多かったのは(1)「学年が上がるに従い『精神面重視』→『学習面重視』にする」(45%)、(2)「教育内容により、『学習面重視』『精神面重視』を使い分ける」(24%)であった。
(1)は「学年が上がるごとに、学習面重視にする」ことで時間差をつけて矛盾をなくし、大学受験を意識する学年になれば学習面重視の効果も高い。(2)は矛盾が出る可能性が高く運用が難しい。

「中間の校風」で回答が多かったのは(3)「『自主性重視」を主体に、必要に応じて『面倒見重視』にする」(33%)、(4)「学年が上がるに従い『面倒見重視』→『自主性重視』にする」(19%)、(5)「内容により、『面倒見重視』『自主性重視』を使い分ける」(19%)であった。
(3)は学校の校風を変えることなく、しかもどうしても必要な部分だけ面倒見重視にするという考え方だ。(4)は(1)と同様で、子どもの成長とともに自主性重視にするというのは合理的だ。(5)は(2)と同様で、運用が難しいだろう。

「中間の教育方針」「中間の校風」の学校の在籍者で「我が子に合った学校」と回答した保護者は、(1)92%、(2)86%、(3)100%、(4)100%、(5)75%であった。

入学後、在籍校は「我が子に合った学校」であると回答した保護者は、全体では教育方針面が78%で、校風面も78%であった。ところが、「中間の教育方針」の学校の在籍者が88%で、「中間の校風」の学校の在籍者が95%であったことから考えると、「中間の学校」は多くの生徒にとって「合った学校」と言える。さらに、「中間の教育方針」の事例(1)「学年が上がるに従い『精神面重視』→『学習面重視』にする」と、「中間の校風」の事例(3)「『自主性重視』を主体に、必要に応じて『面倒見重視』にする』は比較的学校数も多く、満足度が高いことから、多くの生徒に「合った学校」になりやすいと言うことができる。また、(2)と(5)は「内容により使い分ける」のは、運用が難しく、「我が子に合った学校」と回答した保護者が比較的低くなったと思われる。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

子育て・教育Q&A