内容は合っているのに間違いというケースが多い[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答し、実際にアドバイスを実践した結果どうなったのか?という追跡結果もお届けします。


質問者
茨城県 S・Mさん(小3男の子のお父さま)
子どもの性格: 飽きっぽくて恥ずかしがりや。好きなことには集中力アリ。楽なほうへ流される傾向があるように思う
志望校:未定だが、水戸市近郊の私立の中学校に落ち着くはず

質問
内容は合っているのに間違いというケースが多い
テストで「該当する箇所はどこですか?」と聞かれているのに勝手に要約して回答してしまい、内容は合っているのに間違いというケースが多いです。どう指導すればよいでしょう? それから、中学受験での国語の勉強の仕方が、漢字以外抽象的であり、何をいつまでにやっておく等の目安がわかるとありがたいのですが。

小泉先生のアドバイス
「問い」にも線を引く
内容は合っているのに、「答えが問いの条件に沿っていない」というケースは意外に多いようです。お子さまはまだ小学3年生とのことですが、もっと高学年になってもこの手のケアレスミスを繰り返す生徒はいます。おそらく問題文や問いを読んで、「この問いはわかった。はやく片付けて次だ!」という気持ちが強すぎるのでしょう。多くの場合は、「問いを良く読みなさい」と繰り返し注意することで直っていきます。しかしなかなか直らない場合は、「『問い』にも線を引きなさい」と指導すると良いでしょう。

ここで線を引くべき箇所とは、答える時に見落としやすい「条件」です。たとえば「――線部(3)『あつかいがたい年頃』とありますが、その年頃を表している5文字以内の言葉を本文中から2カ所抜き出しなさい。」という問いがあったとします。ここで見落としやすい「条件」に線を引くと、「――線部(3)『あつかいがたい年頃』とありますが、その年頃を表している 5文字以内の言葉を本文中から2カ所 抜き出しなさい。」になります。「5文字以内の言葉」ですから、6文字以上では不正解です。そしてもし「5文字以内の言葉」ではなくて「一文」と言われたら、「『。』で切れるひとつづきの言葉」を探すことが必要となります。また「2カ所」などは、よく見落とされる条件と言えます。「抜き出し」とは、本文をそのまま書き写すことですが、ここでもケアレスミスをする生徒が意外に多いようです。たとえば、本文では「漢字」であるものを「ひらがな」で書くなどは、本文を良く見ないで書き写している証拠と言えます。

「線を引く」というのは、重要と思われる部分を強く印象付けるという作業です。手間がかかりますから、問題を解くスピードが落ちます。結果として得点が一時的に下がる場合もあるかもしれませんが、条件を見落とすことなく解答できるまでは、問いにも線を引く作業を続けさせると良いと思います。

国語の学習には少なくとも2カ所の注目すべき点がある
次の「何をいつまでにやっておくか?」というご質問ですが、明確にはなかなか断言しにくい内容だと考えます。塾のテキストを見ても、難しくはなるものの同じような内容を繰り返し学習するカリキュラム(つまりスパイラル方式)になっている場合が多いようです。ただし「目安」ということでお話するならば、本番の入試までの過程において、国語の学習には少なくとも2カ所の注目すべき点があると思います。

一つ目は5年生の1学期から夏休みにかけてです。この時期から多くの塾または模擬試験では、本格的に入試問題を扱い始めます。問題の難度が急激に上昇します。「感覚」とか「思い付き」ではなかなか正解にたどり着かなくなります。本文を「根拠」に、理論的に解答することが必要になるのです。「選択肢」や「抜き出し」、あるいは「記述」等に関する<解法のテクニック>を学び、磨きをかける時期でもあります。もちろん5年生になる前でも、文章を理論的に読み、かつ問題を解く練習をするに越したことはありませんが、お子さまによっては「論理的に考える」ことがまだまだ苦手な場合もありますので、無理強いは禁物と思います。

二つ目は、6年生の2学期以降でしょう。志望校の過去問を解くことで、その学校のクセに慣れ、あるいは自分の弱点を見付けて克服する時期であります。逆に言えば、9月までに志望校の過去問を演習して、ある程度の得点はとれる国語力をつけておくことが必要です。たとえば合格最低点が60%であれば40%程度はとれるようにしておくと良いと思います。学校によっては、「文学史」や「言葉の問題」などの知識問題が頻出します。そういった志望校ごとの特徴を研究して、少しずつ準備しておくのも良いでしょう。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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