中学入試国語……今年の動向[中学受験]

「我が子が伸びる親の『技』研究会」という、中学受験生を持つ保護者向けのセミナーがある。「今年度の国語入試で何が問われたか」というテーマで、私も毎年この時期に講演を行っている。そのため首都圏の私立・国立中学校を中心に、約90校の国語の入試問題を分析して傾向や対策を検討するのだが、期間的に短いためかなり忙しい作業となる。しかしいろいろな学校の入試問題を読み比べるのは、大変面白い作業であり、楽しみにしている仕事でもある。志望校に合格するには、まず相手(入試問題)を知ることが大切であるので、詳しい内容をお聞きになりたいかたはセミナー等に参加して研究していただければと思うが、今回はこの分析結果についていくつかお話ししたい。

さて今年の入試問題を分析してまず気が付くことは、記述問題が増えているということである。記述問題というと、「苦手!」という子どもが多いだろうから、それが増えるというのは受験生にとって大問題であろう。どのくらい増えたのかというと、超上位校を中心に約10%増加した。実は記述問題の増加は昨年も同じであり、上位校を中心に約10%程度増加している。毎年10%ずつ増加していけば10年で2倍になってしまう程のペースだから、この2年連続約10%の増加はかなり記述問題が重要視されてきていると考えられる。
記述問題が増えたということは、問題全体の難度が上がったということだ。数字は正直なもので、記述問題が増えたなと思うと、とたんに合格者の平均点がぐっと下がっている場合が多い。もちろん問題の難易度は記述問題などの設問だけではなく、問題文の内容にも左右される。問題文が難しければ読みにくく、内容も良く理解できないであろうから、問いにもうまく答えられないということだ。

ところで問題文と記述問題の関係は、「問題文の易化×記述問題の増加」、または「問題文の難化×記述問題の減少」という方向性を持つと考えられる。つまり一つの学校の入試問題を追跡していくと、問題文が難しくなると記述問題が減少し、問題文が易しくなると記述問題が増加する傾向があるということだ。もちろん各学校の偏差値の上下により、その学校の入試問題そのものの難易度が変化する場合はあるが、今年の入試を全体としてとらえれば、「問題文は前年に比べて読みやすくなったが、記述問題の増加により設問が難しくなった」と言えそうである。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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