今年の「テーマ」の動向<国語>[中学受験]

国語の入試問題傾向の調査は毎年やらせていただいているが、なかでも興味のある視点の一つに、各問題文の「テーマ」を分類・集計することがある。「テーマ」というのはその文章に関する主題、つまり「何のことについて書いてあるのか?」ということだ。なぜ興味深いのかと言えば、中学受験の場合はテーマがかなり集中しているからであり、そのテーマの内容を理解することで問題文が非常に読みやすくなるからである。たとえばここ数年のテーマの「ベスト3」は以下のとおりであった。【表1】を見ても明らかなように、「友人(友情)」「自然・環境」「父母子」は毎年よく出る(ちなみに2006(平成18)年度における「自然・環境」の順位は5位だった)。ベスト3の頻出度は今年で言えば全部で34.2%だが、このくらいのパーセンテージになると「かなり出てくる」という印象を受ける。

【表1】

一つの試験問題には平均して約2問の読解問題が出題され、しかも大体の受験生は複数受験を行う。仮に3校受験したとすれば、「3(校)×2(問)×34.2(%)≒2(問)」という計算から、必ず2問は「友人(友情)」「父母子」「自然環境」がテーマの問題文であったという計算になる。もう少し範囲を広げて「ベスト5」まで考えれば、その頻出度の合計は46.2%となり、一つの試験で1問近くは知っているテーマが出題されることになるのである。これだけ出題されれば、「またこのテーマだ」と思えるわけである。

ところで「なぜテーマに関する知識があると問題が読みやすいのか?」は、逆に「なぜテーマに関する知識がないと問題が読みにくいのか?」を考えてみるとよい。たとえばコンピュータに関する知識をある程度もっている人と、ほとんどもっていない人、あるいはもっと極端に考えて、コンピュータに触ったことがない人と比べてみよう。もし触ったことがない人が、コンピュータに関する文章(たとえば説明書)を読んだらどうであろうか? たとえば「キーボードとは、コンピュータに命令を入力するための周辺機器であり、・・・・・・」という文では、「命令?」「入力?」というあたりですでに意味不明になってしまうのではないか? そして「コンピュータ」というテーマがもし入試に頻出するのであれば、コンピュータに関する知識を体系的に入れることで、他の受験生よりはるかに有利になることは明白であろう。「テーマ」の活用は、難度を増す問題文に対抗する一つの方法論であると考える。

ちなみに今年のベスト4、5は、「考え方・思考」と「文芸(論)」であった。これらに関する問題文はこれから何度も塾や過去問演習(過去に出題された志望校の試験問題を演習すること)で扱うことになると思うので、意識して内容を整理しておくとよい。あとできっと役立つと思う。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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