今年の入試 国語の「テーマ」ベスト10[中学受験]

入試での国語の問題のテーマ(主題)に焦点をあててその頻度の推移をずっと見てきているが、今年は「友人(友情)」「父母子」「言語・コミュニケーション」「自然・環境」「動植物」「文化・習慣」「他者・大人」「生き方・悩み」「生命・死」「社会・社会性」がこの順番でベスト10になった。また上位5位のテーマの合計は、全体の47.9%の出題率という非常に高い頻出度であった。
たとえば今年の東京の受験生は、一人で5校程度は受験した。そして各校では平均2問の読解問題が出題されるから、計算すると10問の問題文(5〈校〉×2〈問〉)を各受験生は読んだことになる。そして10問のうち5問近くは、上記の五つのテーマのどれかであった計算になるのである。しかも今年のテーマベスト5は昨年のテーマベスト10の中に入っていたから、昨年のベスト10の内容を知識として持っていた生徒は、そうでない生徒にかなり差を付けることができたと考える。最近の問題文はかなり高度であり、小学生にとっては専門的な知識と言ってよいだろう。事前に頻出テーマに関する知識を持っていたほうが、問題文を理解するにも問いに答えるにも断然有利なのである。

さて「テーマに関する知識」とは、どんなものであろうか。たとえば毎年頻出度No.1の「友人(友情)」では、何を知っておく必要があるのであろうか。このテーマに関する出題パターンはいくつかあるが、なんといっても注意すべきことは、本当の友情関係は「対等でなければならない」ということである。そして物語の登場人物の関係は、最初はだいたい「対等でない」場合が多く、何らかの事件や経験を通じて「対等な関係」に「成長していく」という展開が多いのである。このような物語を「成長の物語」と呼ぶのだが、物語としては非常に頻出のパターンである。これだけのことでも「知っている」か、「知らない」かによって、物語文の読みやすさが違ってくる。

物語文に男の子と女の子が登場する場合は、互いに(または一方が)「好意を持っているのではないか?」とまずは考えてみるべきであろう。以前は「友人(友情)」に関して、「恋」というパターンはほとんど出てこなかった。出てきたとしても、「恋の予感」というレベルであった。しかし最近の入試は前述のように、出題される物語が大変多様化してきて、「恋愛」という領域まで踏み込む場合もある。この気持ちは特に男の子が苦手としていることが多く、「恋」というパターンが出てくるとどうも得点が急降下すると嘆くお母さんも多い。

頻出テーマは時代の流れに沿って、少しずつ変化していく。しかしその変化はそれほど急激ではなく、今年のベスト10に顔を出しているテーマは、来年も50%程度は出題されるであろうと考える。こういった知識を事前に持つことの優位性は、前に述べたとおりである。これらのテーマの知識をまとめたものとして、拙著『中学受験 必ず出てくる国語のテーマ』(ダイヤモンド社)を挙げておく。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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