苦手科目の克服と基礎力の強化[中学受験]

しっかりとした受験態勢を確立するためには、勉強に対するモチベーションを上げる必要がある。そのためには苦手な科目を克服して、得点や偏差値を実感できるぐらいまで上昇させるのが効果的だ。またいつまでも苦手な科目を放置しておくわけにはいかないだろうから、2~5月の「前期」において苦手科目はできるだけ少なくしておくことは大切である。しかし偏差値というのは相対的なものであるから、他の子どもと同じような努力をしていてもなかなか数字は変わらないのが普通だ。それでは、どうしたら良いか?

一定の期間、特定の科目を集中して学習することで、その科目に対する苦手意識を払拭(ふっしょく)する方法がある。特に算数が苦手であれば、他の科目を勉強する時間を削ってでも、算数に集中的に取り組むべきであろう。算数の中でも、「文章題」が苦手だが「平面図形」はそうでもないという子どももいるかもしれない。そんな場合は平面図形を集中的に学習して得意にし、算数の全体の苦手意識をなくす方法もある。あるいは単元で考えて、「速さの問題ならできる」というようにするのも良い。とにかく自信を持つことが非常に大切であり、自信が勉強しようという姿勢を育むことになるのである。

「前期」にすべきことでもう一つ注意したいのが、基礎力の強化である。基礎力とは算数で言えばたとえば計算力であり、国語に関してはたとえば漢字や言葉に関する力である。これら基礎力の欠如が、苦手科目の克服をより困難にしている場合がある。たとえば計算力が弱い子どもは、他の生徒が3問解く間に1、2問しか解けない。つまり他の子ども並みの勉強時間では、決して追いつくことはできないということだ。逆に、どんどん離されるだけなのである。算数はある意味、演習量がその子どもの実力を決定すると言っても過言ではない。「うちの子はどうも計算が遅い」「計算をよく間違える」ということがあるなら、迷うことなく計算ドリルを毎日20分程度演習させるべきであろう。こういった基礎力が不足していると、なかなかしっかりとした受験態勢にも入れないのである。これは漢字でも同じで、一つの文章の中に知らない漢字がたくさん出てきたら、問題文を理解するどころではないだろう。漢字が国語の基礎なのだから、苦手であるなら漢字ドリルを演習する必要がある。特に模擬試験などで漢字の問題が80%以上できていない生徒は、緊急に手を打つべきだ。漢字が苦手であれば文章が読めないし、文章が読めなければそれこそ算数の文章題も社会の問題もうまく解けない可能性が出てくる。

本来ならこういった計算力や漢字の力などは、6年生になる前にある程度の水準をクリアしておくべきではある。しかし現実問題として6年生の2学期になっても「どうも漢字が苦手で……」という相談を受けるケースがあとをたたないところを見ると、応用にばかり目がいって、ついつい基礎の重要性を忘れてしまうのかもしれない。これらの問題点も、「前期」にぜひとも片付けておきたいものである。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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