「穀雨(こくう)」の時期は、恵みの雨に感謝を!
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「穀雨(こくう)」は二十四節気の六番目の節気で、4月20日頃から立夏(5月6日頃)の前日までにあたります。さて、どんな意味や由来があるのでしょうか?

穀雨ってどんな意味? どのような気候を表しているの?
「穀雨」とは「百穀を潤す春の雨」という意味を表す言葉。実際は、この時期に特に雨の降る日が多いわけではありませんが、穀雨以降は穏やかに降雨量が多くなっていくため、穀雨に植物の種を蒔いておくと、ちょうど成長の時期に雨に恵まれるので、すくすく育つといわれています。
また、田んぼや畑の準備も整う頃なので、昔から農家では穀雨の日を、田植えを始める目安にしているそうです。農業に携わっていないと、なかなか馴染みのない節気かもしれませんが、自然の恵みについて、あらためて感謝の気持ちが実感できる時期なのかもしれませんね。
4月17日頃から立夏の前日までは「春の土用」でもあるため、穀雨は春の最後を示す節気だともいえます。
「清明になると雪が降らなくなり、穀雨になると霜が降りることもなくなる」という言葉があるように、全国的に寒さはすっかりなくなって、心身共に夏へと準備を進めていく時期なのです。
穀雨の頃に訪れる重要な日が「八十八夜」
立春から数えて88日目にあたる「八十八夜」は、穀雨の終わり頃に訪れます。「八十八」というそれぞれの字を組み合わせると「米」という字になることから、農業に従事する人にとっては、穀雨の日と同様、極めて重要な日とされてきました。現代でも、農耕時期の到来を祝って、神事が行われるところもあるほどです。
また、八十八夜に摘まれた新茶は、特に栄養価が高いといわれ、古くから不老長寿の縁起物として珍重されていました。
穀雨には、雨のいろいろな別名を楽しむのもいいかも
徐々に雨が多くなっていく頃ということで、この時期の雨にはさまざまな呼び名があります。
まずは「春雨(はるさめ)」。これは、春の中でも穀雨の頃の、温かみを感じる優しい雨を指す場合が多いようです。それとは対照的に、連日降り続く寒々とした小雨は「春霧(はるぎり)」と呼ばれます。
また、穀雨の時期の雨は、いろいろな花を催す(咲かせる)という意味合いから、「催花雨(さいかう)」という呼び名もあります。この発音が転じ、菜の花が咲く頃にあたることから「菜花雨(さいかう)」と呼ばれることも。また、雨が長引くと、「菜種梅雨(なたねづゆ)」という名称にもなります。雨で季節の移り変わりを感じてみるのも、風情があっていいですね。
参考:
白井明大『日本の七十二候を楽しむ‐旧暦のある暮らし‐』(東邦出版)
三浦康子監修『もっと!暮らしたのしむ なごみ歳時記』(永岡書店)
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