「面倒見の良い学校」考 その1[中学受験合格言コラム]

よくあるご質問のキーワードに、この「面倒見の良い学校」というものがある。先日も、その言葉に魅かれてある学校に上のお子さまを入れたところ、上位成績者にはともかく、下位成績者にあまり良くなかった、ということでいささか学校不信になっておられるかたがいらした。

確かに学校によっては、成績下位層を押し上げるタイプと、上位層を引っ張り上げるタイプとあるが、具体的に補習の制度があるなしにかかわらず、本来先生は成績不振者に気遣いをするものである。
ただ、制度としてはその具体的手法がなく、各先生の個人の裁量に委ねられているケースが多い。しかし、それでは外部の父母の目には面倒見が良く映らないので、補習を制度化したり、長期休暇の補習を恒例化したりしている学校が注目を浴びることになる。

もう少し申し上げると、こうした制度を施策としてたくさん打ち出しているのは、いわゆる中堅校下位校と呼ばれる学校で、それだけニーズに対応しているとも言える。
一方、授業には本来そうしたことを含めた工夫がなされているとして、特に何の方策も見せないのがいわゆる上位難関校であるという事実もある。
むしろ上位難関校はそうした細やかな対応がない分、放っておいてくれるおおらかさを生徒も期待し、先生方も生徒の自立を促す考えが強い。

たとえば宿題を出すか出さないか、ということひとつとってみても上位難関校では予習してくることが慣わしになっているが、中堅以下ではそこに何らかの制度があって、強制的に宿題を義務付けられるのがよく見られる。そのような観点から考えれば、上位難関校は面倒見が悪くて中堅校以下は面倒見が良い、という風に映るのではないか。しかし、上位難関校は、メンタルなケアのほうをむしろ重要視していて、そうした目に見える学習面の施策では見えにくいものだ、ということも事実である。

それに加えて、上位難関校の場合はとりわけそうなのだが、学校内の成績が上位3分の1に入っていないとやはり居心地が悪いようだ。下位3分の1だとかなり疎外感が強いのも事実である。従って上位難関校では、学校の面倒見を期待するよりも、下位3分の1にならないように学習面で中1のスタート時に手を打つべきだろう。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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