頻出作家の減少<国語>[中学受験]

今月は2007(平成19)年度の国語の入試問題に関するポイントを述べているが、より詳しくは5月の「わが子が伸びる親の『技』研究会」(森上教育研究所主催)で行う予定である。さらに分析を深めた内容をお伝えできると思う。

さて今回は、中学入試に関する「頻出作家」について述べたい。今年もそうだったが、ここ数年、年を追うごとに「頻出作家」が減少している。中学入試に出題される作家の頻度の話である。具体的なデータで述べてみよう。3校以上に出題された作家を最頻出とすると、昨年8名→今年2名に、2校以上に出題された作家を頻出とすると、昨年20名→今年18名という結果になった。このデータは前にもお話ししたように首都圏のみのものだが、首都圏の傾向が全国に広がっていく動きはあるので、この傾向は見逃せない。

「頻出作家」の存在は、中学受験では今までかなり意識されてきたと思う。それは事前に「頻出作家」の作品を読むことにより、同じ作品が出題された時に問題文を読むスピードや内容の理解度の速さが増し、他の受験生より有利になると考えたからである。そのために、「中学入試頻出作家」の棚まで出現している書店もあるようだ。

さて、ここでなぜ「頻出作家」が減少したかを考えたい。一つは前述したように、問題文の出題の範囲、つまり出典の範囲が広がったのではないかと考える。少し前までは物語文にしても説明文や論説文にしても、「この範囲のもの」という感覚があったのであろう。ある程度の範囲やレベルが決まっていたのでそのなかで光る作品が決まってしまい、それによってそれを出題する学校が6校も7校も出てきたのではないか? しかし今は違う。前にも述べたように範囲が大幅に広がり、各学校の選択の幅が広がった。一昔前には見られないような、深い内容の問題も出題されるようになったのである。これは何も物語文に限ったことではない。以前の入試問題を考えれば、たとえば「文芸(論)」であるとか、または「文化論」、あるいは「言語・コミュニケーション」などで深い内容の文章は中学入試では考えられなかった。少なくても高校入試か、多くは大学入試の問題であったであろう。

もう一つの要因としては、各学校における担当者の意識の問題かもしれない。インターネット等の発達により、さまざまな情報が瞬時に手に入るようになった。「頻出作家」が誰で、どの学校がいつ出しているかなどの情報も簡単に手に入る。ということは、各学校の先生方も「あまり他の学校が出しているものを出すのはどうか?」という意識が出てくる可能性があるかもしれない。

以上のことを考えると、これからは以前のような頻出度は期待できないかもしれない。しかしながら、良い作品はやはりある程度の頻度で出題されるとは思う。塾の教材や過去問で扱われている問題文をひとつ一つおろそかにしないことが大切であろう。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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