試験までの1週間[中学受験]

試験までの1週間というのは、なかなか落ち着かないものである。試験会場への持ち物は基本的には受験票・筆記用具・時計・上ばき・昼食などで、志望校の要項に書いてある注意書きに従えばいいのだが、ほかにもあると便利なものとしては手足を温める使い捨てカイロであるとか、体を温めるための温かい飲み物を魔法瓶に詰めて持って行くことなどが考えられる。1月に入ってからは風邪などひかぬように、帰宅後の手洗い、うがいは当たり前であり、1週間前ともなれば必要な場合を除いて大勢の人が集まるところには顔を出さないことが重要であろう。

さて意外にうっかりしてしまうのが食事かもしれない。実際、我が家でもかなり手厳しい失敗をした経験がある。それは子どもの「大学受験」のときのことだが、例によって「敵に勝つ!」ということで本命の試験の前日はステーキやトンカツを食べてスタミナをつけようということになった。もちろん食べ過ぎてはまずいので、腹八分目で止めておいたのだがこのあとがいけなかった。たまたまヤリイカがあり、私はその刺身を肴に酒を飲んでいたのだが、イカの足であるゲソは軽くあぶってこれも酒の肴としゃれ込んでいた。子どもはイカの刺身はあまり好きではないが、ゲソのほうは大好物で、こちらはお茶を飲みながら何本か食べていたようである。「刺身でもOKなイカだから少しくらいなら大丈夫」と母親も子どもも気楽に食べていた。ところが翌日の朝、子どもが体の不調を訴えた。どうも硬いイカのゲソがまずかったようで、おなかをこわしてしまったのだ。第1志望の試験当日に腹痛を起こすなんてあってはならないことだが、しかし実際には起きてしまった。恐らくプレッシャーでかなり胃が弱っていたのであろう。普段は平気な食べ物でも、消化不良を起こしてしまう可能性が高いのではないか。それでも試験を受けに行ったが、途中下車してトイレに駆け込むこと1回、試験中も腹痛になり試験に全く集中できなかったとのことだった。結果はあえなく不合格で、浪人が確定した。

ところで話はまだ続きがある。真面目に浪人生活を送ったおかげで実力もついたし、今年こそはと試験前日を迎える。2年目ともなれば「敵に勝つ!」などと言って騒ぐほどのこともなく、まずは普通どおりの食事……のはずだったが、なんとそこにはまたしてもイカの刺身とゲソが出ているではないか。もちろん初めは誰も気が付かなかったのだが、何か同じような光景が昨年もあったような、ないような……。やがて鮮明な記憶として「イカのゲソ事件」を思い出したころには、当の受験生はすでに何本か食べたあとだった。よりによって昨年の失敗を、全く同じ日に繰り返すようなことをするなんてということである。しかも翌日は昨年と同じように腹痛を起こし、昨年と同じように途中下車してトイレに駆け込み、同じように試験中も腹痛に苦しんだとのことだった。この件に関しては、私も妻も自分たちの不注意にかなり落ち込こんでしまった(もちろん食べる本人もどうかと思うが)。結果的には無事に合格して、すべては笑い話になったのだが、しかしあのときはかなり悩んだものである。

試験が終われば何でも食べられるのだから、試験前の暴飲暴食は絶対に慎むべきであろう。しかもかなり胃も疲れているはずだから、普段なら食べても全く問題ないものでも調子が悪くなる場合がある。食事には十分に気を付けてあげてほしい。

お子さまの健闘をお祈りします。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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