男は胃袋[中学受験]

 養老孟司と阿川佐和子の対談集「男女の怪」に、免疫学者多田富雄氏の「女は実態、男は現象」という言葉が紹介されている。ヒトは本来、自然に生育するとメスになるところ、胎内数ヵ月の時期の男性ホルモンの働きいかんでオスになるそうだ。つまり本来の姿はメスで、オスは一時の現象ということになる。

 しかし、あの能も玄人である多田氏の表現力は卓抜で、このようにいった途端、男のはかなさ、女のたくましさが一発で了解される面白さがある。

 思春期になりかかる小学6年生ともなると、メシは大きな関心事である。ついでに言えば思春期に突入するとメシさえ満足に、しかも魅力的に与えておけば、もう一つの方の関心事はほのかなものにとどまるというよさがある。世間では俗に「男をつかみたければ胃袋をつかめ」といわれるそうだ。うまいものを作って出してやれば男は居つく、ということのようだ。

 もっとも最近は、男は給料をもってくる存在から、負債にもなりかねない手間のかかる存在と女の衆目の一致するところだから、こんなことを考えてくれるのはレストランチェーンの企画担当者くらいかもしれない。

 しかし、世の中にまさにかろうじて存在しているとすれば、それは男の子の母親である。男の子は美味しい料理で釣っておけば喜々としている。

 筆者などは実に不幸なことに3人もの男の子の父親なので、この手をよく使う。残念ながら上と下は少食、真ん中は通常食ときているので、余程のことでないとメシもうまいと言ってくれない。

 そこは小技も大切で、ちょっとしたおやつにもタイミングとおやっと思わせる味なものが必要だ。これに悩むのは筆者ではなく筆者の妻なのだが、男の子が少々ふさいでいたり、切れかかっていると、ともかくうまいものを食べさせると食べているうちにおとなしくなるし、穏やかになる。まさに化学変化そのもの、現象そのものなのである。使わない手はない。

 さて、女の子はどうするのか?オス化しているようではあるが筆者に名案はない。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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