中学受験でめざすもの 〜併願校を選ぶとき〜[中学受験]

 第一志望については誰しもイメージをもって臨むものだが、併願校についてはなかなかイメージがもてないケースがかなり多い。

 かくいう筆者自身もその一人で、とりわけ第三志望までいくとともかく実感がわかなかった。しかし、何事もつきつめて考えていかないと時間はすぐに経ってしまうので、ともかく少しずつでも考えを進めなくてはいけない。

 これは就職などと同じで、やはり敵を知り己を知れば百戦危からず、という場合の己自身に当たる。この場合はしかし、己とは受験生本人でもあり、ご家庭つまりお父様お母様の考えということだろう。

 例えばその学校に通った場合に考えられるいろいろなシーンを想い描いてみて、違和感を感じるかどうか。具体的に言えば、行事をどう考えているか。行事がほとんどない学校もあれば、かなり頻繁にあるところがある。その行事の内容もどのようなものかも是非在校生などに聞いてみていただきたい。行事と言うのは充実しているところは大変な教育力をもっている。ヘタに授業で学ぶ以上のものが行事で得られることも往々にしてある。あるいは行事がきっかけで学習意欲が高まることも少なくない。

 しかし、一方で余り行事が多すぎるのも考えものだ。なぜかといえばその都度授業が中断されがちで、折角の授業の流れが止まることでなかなか教科の理解が深まらないからだ。もっとも男子の場合は適度に大きな行事があって一気に教室のムードがよくなることがある一方、女子の場合は日頃から親密で行事もさほど男子ほどのインパクトは与えない。また、同様にクラブ活動も実に重大だ。どのようにハードなのか、どのように時間をとるのか。試験前にはセーブされるのか。クラブによっては強くて学校生活の大半はクラブで占めるようなところも男子校ではよくみかける。女子にしても熱心さでは相当のところがある。

 あるいは、学業の進み方。具体的には日々の学科の分量がどの程度出され、どの程度厳しくそれを問うのか。逆にゆるやかで全くそんなことは問われないのか。わが子はどちらであれば、より親としては好ましいと考えているか。

 教科について、どのようなバランスがよいと考えているか。例えば技能科目について言えば、これらの科目が得意であれば、学校満足度が高い傾向にある。音楽、体育、美術、技術家庭にはどのような指導があって、中でも得意とする教科でどんなことをしているのかを是非聞いておくとよい。ちなみに筆者などは、英語も技能教科に当たる、と考えている。その意味では、どんな英語指導になるのかがイメージできると、本人にはわからなくとも、親の方で方針が異なるかどうかがわかり、入学後の塾選びにも役立つだろう。ともかく併願校選びを通じて、親子がどんな中学生活を本当は望んでいるかが一層はっきりするのだと思う。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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