英語で行う高校の英語の授業、現状と課題は?
2013(平成25)年度高校入学生(今年度の2年生)から全面実施された新しい学習指導要領では、英語の授業を英語で行うことを基本としている。1年目の状況を文部科学省が調べたところ、授業の半分以上を英語で行っている教員は半数に満たなかったことがわかった。教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に、高校英語教育の現状と課題について聞いた。
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高校の英語担当教員のうち、「おおむね言語活動を行っている(75%程度以上)」のは11.2%、「半分以上の時間、言語活動を行っている(50%程度以上~75%程度未満)」30.2%、と、授業の50%程度以上を英語で行っているという教員は計41.4%でした。一方、「半分未満の時間、言語活動を行っている(25%程度以上~50%程度未満)」が39.9%と最も多く、「あまり言語活動を行っていない(25%程度未満)」も18.7%と5人に1人近くいます。初年度でもあり、いきなり「英語で授業」を実現するのは、難しかったようです。
「英語で授業」という方針には、導入前から「英語で授業なんて無理」といった声が教員の間にもありました。しかし、外国語科の目標は「コミュニケーション能力を養うこと」であり、聞く・話す・読む・書くという「4技能」のバランスよい育成を目指すのですから、授業で英語を使うことは至って当然と言えます。
「泳げないから水に入れません、と言って泳げるようになりますか。英語も、できなければ人一倍、英語に触れさせる必要があります。学校でやっているのは、プールサイドでクロールの解説をしているようなものです」と語ったのは文科省の視学官ですが、英語を6年間勉強しても一向に話せないわけがうまく表現されています。
英語の授業が変わらないのには、大学受験が読解中心で、文法事項などをしっかり教えなければならないという事情もあるようです。しかしグローバル人材育成に向けて、大学側も変わりつつあります。高校側も、早急に授業の内容を見直す必要があるでしょう。