中学で英語が得意になる! 第1回 中学で英語が苦手になる子が多いのはなぜ? 【前編】

2012年から実施されている中学校の新学習指導要領。外国語(英語)教育の目標には、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能についての記述が加わっています。一方、2009(平成21)年に全国の公立中学校の2年生を対象に実施したベネッセ教育研究開発センター(現・ベネッセ教育総合研究所)の調査によると、「英語が苦手」と答えた生徒は6割。その多くが「中1の後半」までに苦手意識を感じるようになったと答えています。英語への苦手意識を払しょくし、英語の力を伸ばすためには、どんなことが必要なのでしょうか?

このシリーズでは、英語教育の専門家であり、「世界の100人の教師」に選ばれたこともある関西大学教授の田尻悟郎先生に、中学英語のつまずきやすいポイントとその解決方法について教えていただきます。
第1回では、中学の英語教師も長く務めていた田尻先生が、英語教育への思いを語ります。

<中学で英語が得意になる!(動画)>



中学で英語が苦手になる子が多いのはなぜ?

<1-1.中学で英語が苦手になる子が多いのはなぜ?(動画)>

私は中学1年生の時に、近所に住む外国人のかたと、初めて英語で話したことがあります。まだほとんどしゃべれませんでしたが、少しでも通じることが楽しくてしかたがなく、英語の歌が好きだったこともあって、英語の道に進みました。

英語が使えるって、本当に楽しいです。

現代では、英語が使えるということが非常に大切で、国際的な企業では英語力が求められ、英語力を採用の条件として求める企業も数多くあります。英語が使えるということが、将来、プラスになることはまちがいないでしょう。
しかし、子どもは一人ひとり違いますから、すべてのお子さんが英語に向いているとは限りません。向いているのは、水泳かもしれない。ピアノか、それとも書道かもしれません。得意な教科は数学か理科か、社会科か……さまざまな道があります。私は、英語はその中のひとつの選択肢だと考えています。



英語の授業を、自分の生き方を見つけるきっかけにしてほしい

<1-2.中学で英語が苦手になる子が多いのはなぜ?(動画)>

私はもともと中学校の教員であり、今は大学で教えていますが、願いはずっと変わりません。「英語の楽しさを知ってほしい」「英語の授業が、自分の生き方を見つけるきっかけになってほしい」ということです。
子どもは一人ひとりが、違う特徴を持っていますから、それぞれに合った進路を選ぶためには、それぞれが自分の長所や、好きなものや、興味のあるものを知ることが大切なんですね。できること、得意なこと、好きなことが多いほど、仕事を選ぶ時の選択肢も増えていきます。私はたまたま英語の教員になりましたから、英語の授業の中に、彼らが自分の人生を豊かに生きていくためのきっかけがあればいいなと思いながら、授業をつくってきました。

家庭においても同様で、保護者のかたが「将来、英語をやればいいことがある!」とすすめたところで、子どもたちが果たして幸せになるかどうかはわかりません。しかし、子どもたちが英語の勉強を進めていく中で、英語っておもしろいな、英語って自分に合っているのかもしれないと思ってくれたら、それはそれですばらしいことです。
でも、別なことが合っている可能性もある。ですから、保護者の役割は、強制するのではなく、たくさんの選択肢を見せてあげて、その中から自分に合ったものを選ぶ手助けをしてあげるということではないかと思います。

私としては、「英語だってこんなに楽しいんだよ!」ということを、これからのシリーズで皆さんにお伝えできればと思っております。

次回は、中1の2学期ごろから、英語が苦手になる子が多い理由について考察します。


プロフィール

田尻悟郎

田尻悟郎

関西大学 外国語学部 教授。26年の公立中学校勤務を経て現職。NHK『わくわく授業』『プロフェッショナル』等に出演。2004年に「世界のカリスマ教師100人」に選ばれる。新指導要領策定や教科書開発に関わる。主な著書:『田尻悟郎の楽しいフォニックス』(教育出版)

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