読書感想文のあらすじの書き方は?どれくらい書くのがよい?
読書感想文を書く際、あらすじをどう書けばいいのかわからなかったり、ほとんどがあらすじになってしまったりと、悩むケースも多いかと思います。しかし、ちょっとした「あらすじのコツ」を知れば、読書感想文をサクサク書けるのに加え、読んだ人の心を動かすこともできます。
ここではすぐできる「あらすじを書くコツ」をお伝えします。
読書感想文では、あらすじはどれくらい書くべき?
読書感想文では、自分の考えだけでなく「自分はどのような本を読んだのか」というあらすじをある程度読み手に伝えることが必要です。ただし、読書感想文はあくまで「本を読んで何を考えたか」という自分の感想がメイン。読書感想文のほとんどがあらすじで終わってしまわないよう、できるだけ短く、簡潔に書くことを心がけましょう。
あらすじの分量は、全体の字数の1割程度が目安です。原稿用紙2枚(800字)の読書感想文であればあらすじは3〜4行(60〜80字)程度、原稿用紙3枚(1200字)であればあらすじは5〜6行(100〜120字)程度を超えないようにまとめるのがコツ。短くまとめたあらすじは最初の段落で紹介するのが一般的です。
読書感想文では、あらすじをどう整理する?
あらすじを整理する際は、以下の3点をまとめるのがコツです。
(1)物語の登場人物、舞台の説明
(2)物語の中で起こる出来事の説明
(3)出来事の結果として起こる反応の説明
このうち、最初に(1)と(3)を書き、(2)は最後に記入するのがポイントです。(1)と(3)を明確にすると、内容が多くなりがちな(2)に書くべきことが絞りやすくなるからです。『シンデレラ』の物語を例にすると、
(1)シンデレラは継母や姉たちにいじめられ、不幸な生活を送っていました。
(3)シンデレラは王子の妃(きさき)となりました。
(2)魔法によって舞踏会に行ったシンデレラは王子と出会い、帰り際に靴の片方を落としたことで王子から見いだされました。
どのような物語でもこの3つに整理できることを覚えておきましょう。
保護者のかたは、お子さまと一緒にあらすじをまとめる際、(1)は「誰が出てくるお話?」「いつの時代のお話?」「舞台はどこ?」、(2)は「どんなことが起きるの?」、(3)は「結局どうなったの?」と質問をしていくと要素が洗い出せます。
読書感想文があらすじばかりになってしまうがどうすればいい?
読書感想文を書いているつもりが、あらすじばかりの文章になってしまうという悩みもよくお聞きします。この原因としてまず考えられるのは、本を読んでいる最中や読んだ後に自分の感情や心の動き、考えたことを取り出す作業ができていない、もしくはそもそも読書感想文では何を書けばいいのかわかっていないということです。
本を読んでいて感動した場面や印象に残った場面、新しく発見したことや疑問に思ったことを洗い出したうえで、なぜ印象に残ったのか、発見してどう思ったのか、疑問に思ったのはなぜかなど、自分に問いかけてみると考えたことを取り出せます。
小学校低学年のお子さまの保護者の場合は、お子さまがまだ自分自身に問いかける力が十分に育っていない可能性が高いため、保護者のかたが「どこがおもしろかったのか」「なぜおもしろいと感じたのか」「似た体験をしたことがあるか」と質問して感想を引き出しましょう。
また、書くべき内容の取捨選択や掘り下げができていないこともあらすじばかりになる原因となります。いきなり原稿用紙に書き始めるのではなく、別の紙に書き出した自分の考えをもとに何を書くべきかを構成を考えたうえで文章にまとめれば、あらすじと自分の考えをバランスよく配置できます。
表現力を伸ばして、あらすじに頼らない読書感想文を書こう
自分が感じたことをうまく表現できないことも、あらすじばかり書いてしまう原因となります。豊かな表現力を身に付けるコツを以下に紹介します。
・文章を子どもと一緒に読み返す
特に小学生のお子さまは文章を書くことに精いっぱいで、書き終えたあと、書いたものを読み返さないことがほとんどなので、保護者のかたが一緒に文章を読み返しましょう。そしてよく書けている部分をほめたうえで、同じような表現になってしまっているところを指摘しましょう。
・似た意味の言葉をたくさん書き出す
「おもしろかった」など同じ表現ばかり使っている場合は、似た意味の他の言葉を一緒に考えましょう。
例えば「おもしろい」という言葉からは、「楽しい」「ゆかいだ」「わくわくする」「興味深い」「どきどきする」「不思議だ」などの似ている意味の言葉が引き出せます。子どもは思いついた言葉をそのまま使いがちですが、他の表現もできることに一緒に気づけるよう、言い換えの表現を一緒に出してみてください。
言葉を書き出すことができたら、その中から気持ちにぴったりと合った言葉を選びます。そのうえで「どんなところがわくわくするの?」と問いかけていけば、考えをさらに深めることができます。
・慣用句やことわざ、比喩表現に挑戦する
慣用句やことわざ、比喩表現を使うとより表現が豊かになります。
例えば、慣用句を使うと「ぼくは、ケンタと仲良しです」→「ぼくは、ケンタと息が合います」のように表現を変えることができます。比喩表現であれば「悲しくて、涙が出ました」→「悲しくて、涙が雨のように出ました」のように悲しみをより深く表現できます。
「~のように」を使うと、比喩表現を用いやすくなります。こうした多彩な表現を使って自分の考えを具体的に書くようお子さまに促しましょう。
まとめ
・あらすじの分量は、全体の字数の1割程度を目安に、できるだけ短く、完結に
・あらすじを整理する際は次の3点をまとめる
(1) 物語の登場人物、舞台の説明
(2) 物語の中で起こるできごとの説明
(3) できごとの結果として起こる反応の説明
・あらすじばかりの文章にしないためには、感動した場面や印象に残った場面、新しく発見したことや疑問に思ったことについて自分に問いかけ、考えを洗い出すとともに、いきなり原稿用紙に書かず何を書くべきか構成を考える
・表現力を伸ばしてあらすじに頼らないために、「文章を子どもと一緒に読み返す」「似た意味の言葉をたくさん書き出す」「慣用句やことわざ、比喩表現に挑戦する」などを実行する
以上を参考に、あらすじを効果的に紹介して、よりよい読書感想文に仕上げましょう。