高1定期考査で数学の点数が悪かった・・・。そのとき保護者は?

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多くの高校1年生にとって入学後最初の定期考査が5月~6月に実施されていることと思います。
中学生のころとは違い、テスト結果を保護者に見せてくれなくなりがちです。
「結果を見せなさい!」と強要する必要はありませんが、「中間テストはどうだった?」と関心を寄せていることを伝えましょう。
そして、ぜひ数学に話を振ってみてください。

この記事のポイント

社会で求められる数学的素養

高校での学習はどの教科も大切ですし、大学入試のカギは英語だと言われることもあります。
しかし、今後の社会で必要性が広がっていくと思われるのが、数学的素養です。
もちろん、社会に出てから、教科書にあるような数学の問題を解くというわけではありませんので、「的素養」としました。
今現在も、企業では数字をもとにさまざまな施策を判断しています。
国や自治体も「EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)」という考え方で数字やデータを重視しており、この傾向は今後さらに強まっていきます。

わかりやすく単純な例として、飲食店を駅前に開業することをイメージしてみてください。
どういう人がどういう時間に駅前を歩いているか、数的に把握したうえで営業時間やメニュー、味、値付けを決めるのと、どういう人が通っていようと、自分が作りたい料理を売りたい値段で出すのと、どちらが繁盛する確率が高いでしょうか。
こんなことを考えながら仕事をすることが求められるのです。

また、大学では、判断材料となるデータを適切に取り扱い、分析・解釈する力を養う「データサイエンス教育」を、文系・理系、学部を問わず、必修科目とするところが年々増えています。
「数学的素養」は社会でも大学でも必要とされているのです。

参考:
Between情報サイト「大学のデータサイエンス認定プログラムの多くが全学必修を掲げる」
http://between.shinken-ad.co.jp/univ/2021/11/DSnintei.html

定期考査の結果が思わしくなかったら

定期考査に話を戻しますが、数学のテスト結果が良かったのであれば、前述の社会や大学の話をしつつ、しっかりほめましょう。
数学で養う論理的な思考力はどの教科の学習にも、また、どのような仕事をするうえでも役に立ちます。
逆にテスト結果が思わしくなかった場合、まず大切なことは、数学や数字を扱うことに対する苦手意識を蓄積させないことです。
テスト結果の悪さを責めるのではなく、前述の社会や大学の状況を話したうえで、どうしたらできるようになるかを一緒に考えましょう。

まだ高校生活は始まったばかりです。
今なら取り戻せます。
逆に放っておくと、数学の勉強法がわからないまま苦手意識が蓄積していってしまいます。
かと言って、苦手克服のために、と新しい問題集を買い与える必要はありません。
教科書や学校で使っている問題集を使って、できなかった問題をチェックして、解き方を覚えるまで何度も解くように勧めてみましょう。
「パターン学習」と批判されることもある学習法ですが、基礎的なことができるようになり、苦手意識を払しょくするには効果的です。

自学自習がなかなかできない場合、一人で抱え込んでしまっても課題は解決しません。
そういうときには学校の数学の先生に相談するようにアドバイスしてください。
中学校と高校での数学の勉強法は違います。
知っている公式に当てはめて答えを出すことで多くの問題を解くことができた中学校の数学の勉強法から、試行錯誤しながら解き方を考えて答えに迫っていく、という高校の数学の勉強法に切り換えられていない可能性があります。
しかし、そういう内容的なところに保護者が切り込むのは難しいことです。
数学の先生に「中学校のころと勝手が違って、数学の勉強法がわからない」と相談に行くように勧めましょう。
先生も、自身の担当教科をできるようになりたい、と相談しにきてくれる生徒がいたらうれしいものです。
親身になって相談に応じてくれるはずです。

文理選択の考え方

学校によりますが、高2から、文系クラス、理系クラスに分かれるところが多くあります。
三者面談その他の場面で保護者の考えを話すことがあると思います。
高校生自身も「数学が苦手だから文系に」という判断をしがちですし、保護者の高校時代の経験から、そういうことを言ってしまいそうになるかもしれません。
しかし、この記事を読んでくださった保護者のかたは、社会でも大学でも数学的素養が求められること、勉強法を改善できたらまだ取り戻せることをご理解いただけたことと思います。
文理選択の場面で「数学が苦手なら文系でいいんじゃない」とは考えず、大学に進み、社会に出たときに本人がどういうことをしていきたいのか、ということを重視して判断することが大切です。

まとめ & 実践 TIPS

数学に限らず、他教科についても言えることですが、勉強法が間違っているとなかなか努力が点数につながっていきません。
成果が出ないと本人の勉強へのモチベーションが低下していきます。
中学校までの勉強法とは違う、という認識を持って、早めに学校の先生に相談に行くように勧めてみましょう。

プロフィール


西島 一博(にしじま かずひろ)

ベネッセ文教総研所長。株式会社ベネッセコーポレーションで、高校、中学校、小学校対象のさまざまな教材開発に携わる。2016年度より高校用教材・生徒手帳などの制作・販売を行うグループ会社、株式会社ラーンズの代表取締役社長を務め、2021年度より現職。ベネッセ文教総研では、主として中高接続、高校教育、高大接続の領域での研究、情報発信を行っている。

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