子どもの語彙力に不安を感じたら?家庭でできる言葉遊び
- 学習
新学期を新しい環境でスタートされたお子さまも多いのではないでしょうか。
この時期、「学校どうだった?」と聞いても「別に…」「ふつう…」といつも同じことしか答えなかったり、作文なども「面白かった」「うれしかった」の羅列ばかりだったりして、うちの子の語彙(ごい)力って? と不安に思われたことはありませんか。
今回は、ご家庭でできる語彙力を高める方法をお伝えします。
お子さまが興味のある分野から言葉集めをする!
語彙力を高めるには、まず「言葉」に興味をもつことが大切です。ふだん、漢字や学習用語を覚えるのに四苦八苦しているお子さまが、夢中になっているゲームやアニメの登場人物や必殺技、好きな歌手の曲名や歌詞はすらすら覚えていることはありませんか。
まずお子さまが夢中になっている分野をきっかけに次のような方法で言葉集めをしてみると効果的です。
① 好きなアニメやゲーム(お子さまが好きなものならなんでも構いません)に出てくる言葉を、キャラクター名やアイテム名など分野を固定して、たくさん言い合う。
② ①であげた名前から連想する言葉をどんどんあげていく。または、自分で新しいキャラクター名やアイテム名などをたくさん考える。
覚えている言葉を分野わけすることで言葉を意識して整理することができますし、その言葉のイメージを考えて新たな言葉を増やしていくことで言語感覚も養えます。
- ・興味のある分野の言葉をたくさん出させる
- ・言葉から新しい言葉を連想させてイメージを膨らませる
「あてずっぽう辞典」で言葉と楽しく向き合う!
お子さまが知らない言葉に出合ったときが、言語感覚を身に付けるチャンスです。
音読の宿題の際、言葉の意味を理解せずに読んでいることはないですか? 日常生活で目にし、耳にする言葉で、お子さまがその言葉を知らなかったり、知っていても間違った意味で理解し、使っていたりすることはないでしょうか?
そんなときに効果的な方法が「あてずっぽう辞典」です。
知らない言葉の意味と用法(〇〇という言葉は、△△という意味。□□のように使う。)を考えて、ノートに書いていく方法です。
(例)ならわしという言葉は、ならに生息するわしという意味。ならわしが飛ぶ。のように使う。
※正しい意味は「昔から、そうすることになっていること」です。
あてずっぽうに考えることでその言葉に楽しんで向き合えますし、そのあとで辞書などを使って本来の意味や用法を確認することで、知らない言葉を前後の言葉や漢字から類推する力や言語感覚を身に付けることができます。
- ・「あてずっぽう辞典」で、知らない言葉を類推することで言語感覚を身に付ける
「あいうえお作文」や「漢字しりとり」で楽しく言葉を使う経験を!
たくさんの言葉を知っていても、使えるようになるには練習が必要です。ふだん話している「言葉」ですから、知っていればすぐに使えると錯覚をしてしまいがちですが、「知っている」ことと「使える」ことは違います。
国語は体育と同じ技能教科だと言われています。体育の水泳で泳ぎ方を知っていてもすぐに泳げるわけではないのと同じで、言葉を使えるようになるには「言葉」を使う経験を積むことが必要なのです。次に、楽しく言葉を使う経験ができる言葉遊びの方法を紹介します。
<小学校3~4年生におすすめ>
・あいうえお作文
あさおきたら
いっぱいの
うみがめが
えんがんを
およいでいるのを見た。
上記のように、文の最初の文字を「あいうえお」にして文を作ります。最初の文字を自分の名前にすれば自己紹介になりますし、文にすれば暗号にもなります。
・最後が同じ文字の言葉を集め、短文にする
はんこ きんこ インコ よいこ →よいこは、はんこをきんこに入れる。
<小学校5~6年生におすすめ>
・類義語集め
たとえば「もつ」の類義語(かかえる、つまむ、もちあげる等)、「笑う」の類義語(にっこりする、大笑いする、ほほえむ等)を集めます。その言葉を使って文を作ると、言葉が表す意味の違いを意識することにつながります。
・漢字しりとり
「学校→校庭→庭園→園芸…」など、漢字を続けていくしりとりです。テーマを限定すると難易度が上がります。
・同音異義語で文作り
「100点を取った証拠に写真を撮った。」「転職して天職についた。」などの同音異義語を使って文を作ります。学校で端末が配られ、文字入力する機会も増えているのではないでしょうか。入力すると複数の候補と意味が出てくるものも多いですよね。誤変換も含めて楽しみながら文作りをすることで、間違えやすい同音異義語を覚えることにもつながります。
- ・語彙力を高めるには、「言葉」を使う経験が必要
- ・「あいうえお作文」や「漢字しりとり」で「言葉」を使うことで楽しみながら語彙力を高められる
まとめ & 実践 TIPS
語彙力を高めるには、お子さまの興味のある分野から言葉集めをしてみること、遊び感覚で言葉を使う経験をたくさんすることが大切です。
天気予報をきっかけに、天気を表す言葉をたくさん集めるなど、お子さまがふだんの生活の中で興味をもった言葉をきっかけに言葉集めをしてみるのもよいですね。書くことに抵抗がない場合は、好きな言葉や表現を書き留めて、自分だけの「言葉集」を作るのもおすすめです。
株式会社プランディット 国語課 江藤(えとう)
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの国語の教材編集を担当。
- 学習