子育ての支援制度 受けられる助成金7つと貯める方法もご紹介

子どもが生まれてから社会人になるまでを《子育て期間》とすれば、子育てにかかるお金は、一度にかかるわけではありません。2015年4月にスタートした「子ども・子育て支援新制度」のほか、子育て支援のための制度や助成金などを上手に利用して、先の見通しを立てて計画的に準備しましょう。

この記事のポイント

子育てにかかるお金の総額は?

子育てにかかるお金は、大きく教育費と養育費に分けられます。
【保存版】子育てに必要な費用はいくら?未就学~大学までにかかる費用や制度についても解説!で、それぞれの時期にどれくらいかかるのかを参考にしてください。

上記コラムによると、0歳から22歳までの子育て費用の合計は、国立大学進学の場合で約2,780万円、私立大学進学の場合で約2,900万円です。この数値はあくまで平均値と思ってください。

特に教育費に関しては、専門学校等の種類、大学であれば文系か理系か、大学院に進学するのか、など子どもの希望する進路により大きく異なります。

参考:【保存版】子育てに必要な費用はいくら?未就学~大学までにかかる費用や制度についても解説!(ベネッセ教育情報サイト)
https://benesse.jp/kosodate/201509/20150910-2.html

子ども・子育て支援新制度とは

子ども・子育て支援新制度の概要

2015年4月にスタートした「子ども・子育て支援新制度」は、消費税率引き上げによる増収分を活かして、幼児期の学校教育や保育、地域の子育て支援を総合的に推進するものです。

この制度には、認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付(「施設型給付」)と小規模保育等への給付(「地域型保育給付」)があり、市町村が主体となって、地域の実情に応じた子ども・子育て支援を目指しています。

また、国が主体となる支援事業として、企業主導型保育事業や企業主導型ベビーシッター利用者支援事業があります。

この支援の内容は、主に保育料の利用者負担を軽減しようというものです。これから具体的に説明します。

子ども・子育て支援新制度で利用できる施設は

子ども・子育て支援新制度で利用できる施設は、大きく分けて、認定こども園・幼稚園・保育所・地域型保育に分類されます。
地域型保育とは、家庭的保育(保育ママ)、小規模保育、事業所内保育、居宅訪問型保育のことをいいます。

(※1)保育を必要とする事由
・就労(フルタイムのほか、パートタイム、夜間、居宅内の労働など)
・妊娠、出産
・保護者の疾病、障害
・同居又は長期入院等している親族の介護・看護
・災害復旧
・求職活動(起業準備を含む)
・就学(職業訓練校等における職業訓練を含む)
・虐待やDVのおそれがあること
・育児休業取得中に、既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること
・その他、上記に類する状態として市町村が認める場合
 「子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK(平成28年4月改訂版)(内閣府)」より筆者作成

子ども・子育て支援新制度の利用方法は?

各施設(幼稚園、認定こども園、保育所、地域型保育)を利用するには、居住地の市町村で、1号・2号・3号の認定を受ける必要があります。

「子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK(平成28年4月改訂版)(内閣府)」より筆者作成

「保育を必要とする事由」(※1)に該当しない3歳から5歳児の保護者(1号認定)は、幼稚園や認定こども園に直接申込みます。

「保育を必要とする事由」(※1)に該当する保護者(2号、3号認定)は、市町村に認定を申込むと同時に施設利用希望の申込みができます。保育の必要性が認められた場合、認定証が交付され、利用を希望する施設に申し込みます。

市町村によって、保育の必要性などから優先順位をつけて、施設利用の調整を行うことがあります。ひとり親世帯や生活保護世帯、生計中心者の失業、子どもに障害がある場合等で優先順位が判断されますので、お住まいの市町村で確認しましょう。

子ども・子育て支援新制度の施設の利用料は?

それぞれの施設の保育料は、認定区分や保護者の所得に応じて、国が定めた上限額の範囲内でそれぞれの市町村が定めています。
実際に保護者が負担する施設の利用料は、国の施策「幼児教育・保育の無償化制度」により、

〇1号、2号認定である幼稚園、保育所、認定こども園等の施設を利用する3歳から5歳までの子どもの利用料の負担はない。
 ・幼稚園については、上限月額2万5700円で超えた部分は保護者負担
 ・通園送迎費・食材料費・行事費などは、保護者負担
〇3号認定である0歳から2歳までの子どもの施設利用ついては、住民税非課税世帯を対象として利用料の負担はない。

と定められています。

上記以外の認定区分の子どもの施設の利用料の負担額は、市民税所得割課税額、子どもの年齢、子どもの人数により決定され、市町村により負担額が異なるので、お住まいの市町村のホームページや担当部署で確認する必要があります。

一例として神奈川県川崎市の「令和3年度川崎市利用者負担額(保育料)金額表」は以下の通りです。

神奈川県川崎市HPより

子どもが複数いる世帯で、1号認定の場合は、第1子が小学校3年までの期間、利用者負担額が2人目は半額、3人目以降は無料です。2号・3号認定では、同一世帯で2人以上の子どもが同時に施設を利用する場合に、利用者負担額が2人目は半額、3人目以降は無料となります。

収入の少ない世帯(年収360万円未満相当の世帯)、ひとり親世帯も別途負担軽減の仕組みがあります。

国が定めたルールよりも手厚く負担軽減している自治体もあります。たとえば、埼玉県さいたま市では、きょうだいの年齢に関係なく、第3子以降の0歳から2歳までの子どもの施設利用者負担額を免除しています。

子育て支援情報公表システム「ここdeサーチ」(内閣府)は、全国の教育・保育施設等の情報が閲覧可能なサイトです。知りたい地域の認定こども園や保育所、幼稚園などの情報を、お住まいの地域や最寄り駅などから検索でき、施設の住所、教育・保育内容、利用定員、実費徴収額などの詳細がわかります。

参考:子ども・子育て支援新制度(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/index.html

 幼児教育・保育の無償化概要(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/gaiyou.html#nintei

 令和3年度川崎市利用者負担額(保育料)金額表(神奈川県川崎市)
https://www.city.kawasaki.jp/450/cmsfiles/contents/0000030/30711/R3-hoikuryohyo.pdf

 さいたま市多子世帯利用者負担額(保育料)軽減事業を実施します(埼玉県さいたま市)
https://www.city.saitama.jp/003/001/015/001/p045608.html

 子ども・子育て支援情報公表システム「ここdeサーチ」(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/kokode/index.html

子育て時期に受けられる助成金7つ

1:出産手当金や出産育児一時金

子どもの出産の際に受け取れる助成金には、出産手当金と出産育児一時金があります。よく似た名称ですが、その目的が異なります。

出産手当金は、出産による収入減少に対する休業補償が目的で、出産育児一時金は、出産にかかる費用の負担軽減を目的としたものです。

出産手当金の受給には、勤務先の健康保険組合、協会けんぽ、共済組合等、出産する本人が勤務先の健康保険に被保険者として加入していることが必要です。国民健康保険の加入者は対象にはなりません。受給金額は、出産する本人の給料等の額によって決まります。

一方で出産育児一時金は、国民健康保険の加入者も、勤務先の健康保険組合、協会けんぽ、共済組合の加入者のどちらも受給の対象です。配偶者の勤務先の健康保険の扶養として加入している場合も、家族出産育児一時金として申請・受給することができます。
受給金額は、原則として一律42万円で、事前に医療機関に申請しておけば、直接支払制度を利用できます。加入している健康保険組合等から医療機関等に対して直接支払われるので、出産費用の自己負担の軽減になります。

参考:出産に関する給付(全国健康保険協会(協会けんぽ))
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31712/1948-273/

2:育児休業給付金

育児休業給付金は、育児休業終了後に職場復帰することを前提にした給付金です。育児休業給付金の支給申請は、原則として事業主が行います。
育児休業給付を受給するには、育児休業を開始した日の前2年間に被保険者期間が12か月以上必要です。ただし2021年9月1日から、育児休業給付に関する被保険者期間の要件が一部緩和されています。

受給の期間は、原則子どもの1歳の誕生日の前々日までです。ただし、子どもが1歳になる前に職場復帰した場合は復帰日の前日までです。また、一定の要件を満たした場合は、最大で1歳6か月または2歳の誕生日の前々日まで受給できる場合があります。

育児休業給付金の給付額は、休業開始時賃金日額の50%から67%です。育児休業開始前6か月間の総支給額が平均して月額15万円程度の場合、育児休業開始から6か月間の支給額は月額10万円程度、6か月経過後の支給額は月額7万5,000円程度となります。

参考:Q&A~育児休業給付~(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158500.html

3:児童手当や児童扶養手当

児童手当と児童扶養手当も名称が似ていますが、支給の目的と支給対象が異なります。

児童手当は、原則として、日本国内に住んでいる子どもを対象に、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の子どものいる世帯に支給されます。
支給には、所得制限があり、扶養親族の人数と所得額により、限度額が決まっています。所得制限限度額以上の世帯は、特例給付として、子どもの年齢に関わらず1人につき一律5,000円支給されます。ただし、2022年10月支給分から、主な生計維持者の年収が1200万円以上の場合は支給されなくなる見通しです。

児童扶養手当は、離婚などによるひとり親世帯等の生活の安定と自立促進のために、18歳の誕生日後の最初の3月31日までの子ども(障害児の場合は20歳未満)を養育している父または母、父母に代わって児童を養育している祖父母等)に支給されています。
支給額は養育者の所得と子どもの人数により異なります(全部支給・一部支給)。また、養育者の再婚等で要件を満たさなくなった場合は、それ以降は支給されません。

参考:児童手当制度のご案内(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html

 児童扶養手当について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/osirase/100526-1.html

4:子ども医療費助成

各市区町村が実施する乳幼児等に係る医療費の援助については、各都道府県が要綱等に基づき補助しています。
令和2年度「乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」(厚生労働省)によると、

・全ての都道府県及び市区町村が乳幼児等に係る医療費の援助を実施していた。
・都道府県では、通院、入院ともに就学前までの児童が最も多く、市区町村では、通院、入院ともに15歳年度末(中学生まで)が最も多かった。

という結果となっています。
各市町村の実施状況は、当調査の(別紙3)で確認できます。

参考:令和2年度「乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20913.html

5:幼児教育・保育の無償化

2019年10月より、幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳までの全ての子どもの利用料が無償化されています。幼稚園については、上限月額2万5700円で超えた部分が保護者負担です。また通園送迎費・食材料費・行事費などは、保護者の負担でとなります。
0歳から2歳までの子どもについては、住民税非課税世帯を対象として利用料が無料となっています。幼稚園、保育所、認定こども園に加え、地域型保育も同様です。

参考:内閣府 幼児教育・保育の無償化概要
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/gaiyou.html#nintei

6:就学援助制度

就学援助制度は、生活保護やそれに準ずる程度に困窮していると認められる世帯の子どもが義務教育等の学校へ就学するために援助する制度です。学用品費、修学旅行費、給食費などが援助されます。ひとり親世帯等の児童扶養手当を受給している家庭も対象です。

就学援助制度では原則前年の所得で審査をしますが、新型コロナウイルス感染症の影響で家計が急変した世帯については、直近の収入で審査(特別審査)している自治体も多数あります。

援助の対象となるかどうかの判断や援助となる費用の範囲等は、各市町村にゆだねられていますので、お住まいの市町村や子どもが通学している学校に相談しましょう。

参考:就学援助制度について(就学援助ポータルサイト)(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/05010502/017.htm

7:高等学校等就学支援金制度

高等学校等就学支援金制度は、国公私立問わず高等学校等に通う、所得等の要件を満たす世帯の生徒に対して、授業料相当額の高等学校等就学支援金を給付する制度です。

従前から所得基準の年収目安が910万円未満の世帯(※2)について、公立高等学校等の授業料の実質無償化がされていましたが、2020年4月から、年収目安が590万円未満の世帯(※2)の生徒を対象として、私立高等学校等の授業料が実質無償化されました。
(※2)年収目安は両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合の目安

この制度は、授業料の一部または全部を支援する制度です。世帯所得や通う学校種により、支給の有無や金額が異なります。支給の対象になれば、国公立高等学校は授業料負担が実質無償になりますが、 私立高等学校の場合、授業料と就学支援金との差額を負担する必要があります。

参考:「私立高等学校授業料の実質無償化」について(2020年4月から)(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1418201.htm

子育て費用を貯める方法4つ

1:助成金を貯める

これまで見てきた制度を利用すると、高等学校卒業までは毎月の収入の中でやりくりできそうですね。まとまった教育資金が必要になるのは、高等学校を卒業したあとの進路だと思います。

現時点では、多くの世帯で児童手当の受給対象となっています。仮に児童手当を子ども一人当たり毎月10,000円としても、17年間貯蓄すれば、204万円です。これから説明する学資保険(子ども保険)の保険料に充ててもいいでしょう。

2:みなし貯金をする

幼児教育・保育の無償化により、幼稚園や保育所の利用負担額が大幅に軽減されています。医療費もほとんどの市町村で中学校卒業まで助成されています。「本来は費用がかかっている」という意識で一人の子どもにつき毎月3,000円でも5,000円でもいいので定額を積み立てる「みなし貯金」をしましょう。

3:保険で貯める

子どもの教育費のための保険と言えば、学資保険(子ども保険)が頭に浮かぶと思います。学資保険(子ども保険)のメリットは、契約者(保護者)に万一のことがあった場合に、以降の保険料の支払いが免除され、満期時に保険金が受け取れることです。低金利の現在、支払う保険料よりも受け取る保険金額のほうが低い保険もあります。必ず支払い保険料の合計を計算して、受け取る保険金額と比較して加入しましょう。

学資保険(子ども保険)の代わりに「低解約返戻金型終身保険」を利用する方法があります。契約者、被保険者は保護者です。子どもが17歳になるころに解約して解約返戻金を受け取り、教育資金に充てるものです。保険期間に被保険者(保護者)に万一のことがあっても保険金を受け取れますし、子どもが17歳になるころに解約して受け取る解約返戻金が支払う保険料よりも高くなるように設計して契約します。

4:投資信託で貯める

まとまった教育資金が必要になるのは、高等学校を卒業する時期です。必要になる時期が決まっている資金をすべて投資商品で貯めるのはリスクを伴います。投資信託は比較的安定した投資商品とはいえ、元本割れのリスクはゼロではありません。それを心得たうえで、余裕があれば、投資信託等の投資商品で貯めましょう。リスクを分散するためにも時間をかけて積み立てることができる積立型の投資商品がいいでしょう。

「つみたてNISA」は、毎月定額(年間40万円が限度)を20年間非課税で積み立てることができる制度です。対象となる商品は金融庁が選定した投資信託(公募株式投資信託とETF)に限られているので、一般的に低リスクで初心者向けとされています。

まとめ & 実践 TIPS

国の少子化対策として、幼児教育・保育の無償化、高等学校等の授業料の実質無償化が整備され、多くの家庭で高等学校卒業までに教育資金を貯めやすい体制が整えられてきていると思います。子どもの希望する進路をサポートするために、時間を味方につけて、コツコツ、しっかり教育資金を準備しましょう。

宮里惠子

宮里惠子

ファイナンシャル・プランナー、消費生活アドバイザー。生命保険をはじめ、教育費関連や住宅ローンについて雑誌・新聞・Webで執筆。地域に根をはるFPを目指して、横浜市北部エリアで活動している。若い世代に対する消費者教育の必要性を強く感じている。

プロフィール

子どもの教育資金を考える女性FPグループ

メンバー全員が子育て経験を持つ女性FPのグループ。各自の子育て経験や得意分野を活かして、消費者向けのセミナーや相談業務、執筆、監修などを手掛けている。教育資金に関する情報発信の機会も豊富。

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