直島の海岸を歩いてみよう!海辺で力強く生きる植物の魅力【直島アート便り】
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夏といえば海。直島でも太陽の光が降り注ぐ海で、海水浴を楽しむ姿が見られるようになってきました。
海に入り冷たい水の中で遊んだり、砂浜でお城を作ったり、海での楽しみ方は様々ですが、「海辺で植物を観て楽しむ」というかたは少ないのではないでしょうか。直島の海辺を歩いていると、日常生活の中では見たことのない形をしている植物や、不思議な生え方をしている植物とたくさん出合うことができます。
今回は、海辺に生える「海浜植物」に注目しながら過ごす、海の楽しみ方をご紹介します。
海浜植物—海辺で生きる植物とは?
海浜植物とは、海岸に自生する植物のことを指します。海辺で生きる植物は日々とても過酷な自然の条件にさらされています。強い海風が吹くため、風に吹き飛ばされないよう地を這うように生えているものが多く見られたり、塩を含んだ海水がその風に乗って飛散するため、塩分に強いつくりをしていたりと、厳しい自然環境に適応できる工夫がたくさんあります。
また、日中は日射しが強く、日陰の少ない海辺は地表が乾燥しているため、地下に根を深く張り水分をためられるようになっている点も特徴の1つとして挙げられます。
「ハマボウフウ」
直島の海岸を歩いていると「ハマボウフウ」という海浜植物に出合いました。日本各地の砂浜に自生している植物で、茎は短く地表を這うように葉が広がっています。葉の表面には艶があり、実際に触ってみると葉に厚みが感じられます。中央に見られる球形の塊は「ハマボウフウ」の果実です。
1つの植物をとってみても、環境に適応した不思議な姿、刻み目のような縁をもつ葉の形、規則性が感じられる果実の形など、実際に触ることで得られる感触など幅広い発見があります。
「マツナ」
また「マツナ」と呼ばれる、関東以西の砂地に自生する海浜植物は、若葉をゆでて食べることができるため、食用に栽培されることもあります。味覚で楽しむことができるのもおもしろい特徴だといえるでしょう。
海浜植物をよく観てみよう—直島小学校1年生の取り組み
6月には、直島小学校1年生の児童が海浜植物を観察する課外学習を行いました。
児童は海岸を歩きながら興味を抱いた海浜植物を選び、まずは見た目をよく観察します。目でじっくりと観たあとは、匂いを嗅いでみたり、実際に触わってみたりしながらさらに特徴的な部分を探していきました。
「お庭で育てているお花とは違う!」「前に海に来たときに見たことがある!」などそれぞれ思ったことを口にしながら児童たちは熱心に観察をしていました。
初めは「緑色の葉っぱがたくさんある!」と話していた児童たちも、よく観察する中で、実は茎に近いところと先のところで葉の色が少し異なっていることに気付いたり、細かい粒状突起に覆われた葉の表面がキラキラと光っているように見えると教えてくれたり、様々な特徴を見つけていました。
「ツルナ」 海岸の砂地に自生する海浜植物。肉厚な葉が特徴的。葉の表面が細かい粒状突起に覆われている。
また、実際に触れてみることで、葉の厚みを感じたり、硬さや柔らかさを確かめたり、児童たちは初めての感触を楽しみながらバラエティに富んだ海浜植物の特徴を感じ取っていました。
「ハマヒルガオ」を観察する児童たち。
海浜植物の魅力—海辺に広がる不思議な世界
周囲の環境と密接に関係しあいながら力強く生き抜く海浜植物は、街中では見たことのない姿形、色、触り心地、自生している場所など不思議な魅力であふれています。「海で植物観察?」と思われる方もいるかもしれません。
しかし、普段目を向けていない場所だからこそ、新しい発見がたくさんあるはずです。今年の夏は、海岸を歩きながら、ぜひお子様と一緒に海辺に広がる植物たちの世界をのぞいてみてはいかがでしょうか。
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