地名の秘密を解き明かそう!「関東」「関西」の由来は?
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普段生活している中で、地名や地域の呼称について疑問に思うことはないでしょうか。例えば、「関東」や「関西」という言葉を何気なく使っているけれど、具体的にはどの地域のことを指しているのかということや、自分が住んでいる地名の由来などです。それらには、時代の変遷や歴史的な背景を読み取ることができるものが多くあります。今回はいくつかトピックをあげて、地名や地域の呼称についてご紹介したいと思います。
この記事のポイント
いつから「関東」と呼ばれている?
一般的に「関東」や「関西」という言葉が用いられますが、そもそも「関東」や「関西」という言葉はどのように生まれてきたのでしょうか。「関東」という言葉は、壬申の乱の後に即位した天武天皇が当時の都を守るために、673年に東山道に不破関を、東海道に鈴鹿関を、北陸道に愛発関を置いたことに端を発します。そして、この3つの関所よりも東側に位置する地域のことを「関東」と呼ぶようになったと言われています。「関東」が示すのは、関所より東側というように大まかな地域だったのですが、江戸時代には神奈川県の箱根や群馬県の碓氷峠などの関所より東側が「関東」を指すようになり、現在の「関東」が指す地域は明治時代に確立したとされています。
現在の「関東」 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 東京都 千葉県 神奈川県
(1都6県)
- ・もともと「関東」は関所よりも東の地域を意味するものだった。
- ・現在の「関東」は、明治時代に確立した。
「関西」地方はどこのこと?
先ほどの「関東」に対し、2府5県(三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)を指して「関西」という言葉が用いられていると思われがちですが、中学校の地理の教科書ではこの地域のことを「近畿」という言葉で学習します。「近畿」という言葉は、飛鳥・奈良時代に当時の都の周辺(現在の奈良県、京都府、大阪府、兵庫県)を「畿内」と呼んでいたことから始まっています。それが、明治時代に「畿内」から近い場所、という意味で「近畿」という呼称が使われるようになり、現在に至っています。
「近畿」 三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県
(2府5県)
教科書では「近畿」という言葉が使われているものの、「関西人」や「関西弁」「関西国際空港」など、「関西」という言葉は使われる機会がとても多いようです。
- ・教科書では「関西」ではなく、「近畿」。
- ・「関西」も日常的に用いられている言葉である。
身近な地名を調べてみよう!
「関東」「関西」という言葉を取り上げてきましたが、このように地域の由来を知ることで、その言葉の成り立ちや歴史的な背景を知ることができます。このほかにも、「九州」(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県)には、7つしか県がないですが、「九州」と呼ばれています。これは飛鳥・奈良時代に、9つの国がこの地域にあったことに起因しています。
このように、自分の住んでいる地域やニュースなどで見聞きしたことを調べてみると、意外な事実がわかることが多いです。また、このようなことがきっかけで自分の住んでいる地域の特徴について知りたくなったり、歴史について興味をもったりと、好奇心がどんどんわいてきます。何か疑問に思うことがあったら調べてみて、それを学習の糸口にできるとよいでしょう。
- ・身近な地域について疑問に思ったら調べてみる。
まとめ & 実践 TIPS
地名を調べてみると、時代背景を理解したり、歴史的な出来事を知るきっかけになったりと、いろいろなことがわかってきます。そうすることで、その地域に対する愛着がわいてきたり、より深く知ろうとする探求心にもつながってきたりします。地名には歴史的な謎が秘められていることが多いので、謎解き感覚で学習してみましょう。
株式会社プランディット 国語課 宮城(みやぎ)
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの国語の教材編集を担当。
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