「てにをは」とは? 1年生国語の最初の壁、助詞の使い方は夏休み中にマスターを!
小学校1年生の国語で夏休み前に学習する助詞「は」「を」「へ」。夏休みの宿題には絵日記など文章を書くものもありますが、授業だけでは十分に理解できない子どもも少なくありません。
助詞「は」「を」「へ」をマスターするにはくり返しの練習が不可欠。子どもがつまずきやすいポイントや保護者によるフォローのしかたを解説します。
助詞とは?「てにをは」とは?
「助詞」とは、ことばに意味を付け加えるはたらきをする語のこと。「Aは」の「は」、「Bを」の「を」、などが代表例です。主要な助詞を並べた「てにをは」という言葉も助詞のことを意味しています。
助詞が大切な理由は、たった1文字の助詞でも使い方を間違えると文章自体が別の意味になってしまうからです。
(例)
・父は私を褒めた。
・父を私は褒めた。
・父と私は褒めた。
・父か私が褒めた。
こうした文章作りの基礎ともいえる助詞は、小学校1年生から学習するもの。小1段階では特につまずきやすい「は」「を」「へ」をマスターすることが、とても大切です。
「てにをは」の間違いを2年生まで引きずってしまうケースも…
助詞「は」「を」「へ」の使い方でつまずきやすい理由は、発音との関係にあります。
助詞には「が」「の」「に」「で」などもありますが、これらは発音のとおりに書けばよいため習得しやすいタイプといえるでしょう。しかし、「は」「を」「へ」は、音では「わ」「お」「え」と同じでも、そのとおりに書くと間違いになってしまう助詞です。
「は」「を」「へ」は1年生の6月下旬から7月上旬に学習し、次いで絵日記を書く学習を夏休み前までに行います。この段階で、ご家庭でも「は」「を」「へ」を正しく使えているかどうかをしっかり確認できればいいのですが、実際には夏休みの絵日記の宿題の中で気づくことが多いようです。
2学期の授業では少し長い作文を書く学習も始まるため、夏休みのうちに克服できるのが理想。しっかり定着しないと2年生まで引きずってしまうケースもあります。
もし「は」「を」「へ」の使い方が間違ったままだと、テストできちんと問題を読んだり作文でうまく表現できていたりするにもかかわらず、表記の間違いで細かく減点されることに…。減点が続くと、国語に苦手意識を抱いてしまうことにもなりかねません。
国語に苦手意識を生じさせないためにも、夏休みの間に「は」「を」「へ」のマスターを目指しましょう。
「てにをは」で多くの子どもがつまずくポイントは?
子どもが「は」「を」「へ」の使い方でつまずきやすいのは、音と表記が異なることが原因の1つです。具体的には、次のような間違いが多く見られます。
・「は」の使い方
【正】 わたしはおんなのこです。
【誤】 わたしわおんなのこです。
・「を」の使い方
【正】 りんごをたべた。
【誤】 りんごおたべた。
・「へ」の使い方
【正】 どうぶつえんへいく。
【誤】 どうぶつえんえいく。
大人は当たり前のように使いこなしていますが、よくよく考えれば複雑なルール。文字やことばを習い始めたばかりの子どもが混乱するのも無理のないことです。
助詞のルールは理解できても使いこなせない子どもが多い
学校では、「は」と「へ」には2種類の読み方があり、ことばにくっつく場合「は」は[wa]、「へ」は[e]と読むと教えます。
「を」についても、現代日本語では[wo]ではなく[o]と発音するのが基本です(ただし、地域や教員によっては[wo]で教えることもあるようです)。
こうした表記のルール自体を理解できる子どもは多くいます。たとえば、進研ゼミの次のような問題では、正答率が8〜9割となり、決して低いものではありません。
同時に、これらの助詞を用いた文章を読むことについても問題ないケースが多く見られます。
ところが、子どもが自分で文章を書くとなると、表記ルールを考えずに発音のとおりに書いてしまったり、混乱して書き間違えたりするケースが続出するのです。
「ルールは理解しているけれど正しく使えない」という場合、正しく書く練習を何度も繰り返すことが、しっかり定着させる重要なポイントとなります。
親子一緒に楽しみながら「てにをは」の理解が深まる4つの学習法
助詞の使い方を練習する際は、問題集を解くという方法がまず考えられるでしょう。
一方、子どもの理解を深めるためには、子どもがつまずいている点を親御さんが把握してフォローしてあげるのも効果的。そこで、親子一緒に楽しみながら理解を深められる方法を4つご紹介します。
【1】ことばを区切る練習をしよう
1年生のはじめは、文字がことばになって、ことばが文章になるといった概念をあまり深く理解していません。そのため、ことばの区切りを何となくでしかとらえられないことがあります。
しかし、ことばの区切りが曖昧なままだと助詞を正しく使うのも難しくなってしまうでしょう。
そこで、まずは文章に「/」を入れながらことばを区切る練習がおすすめです。
(例)
・ぼくはどうぶつえんへいきました。
・ぼく/は/どうぶつえん/へ/いきました。
【2】「てにをは」の間違い探しをしよう
2つめの学習方法は、親御さんがわざと助詞の使い方を間違えた文章をつくり、それを子どもが直す「間違い探し」。助詞のルールを理解するために、小学校の先生もおすすめする方法です。
(例)
・きのう、ぼくわいとこのいええあそびにいって、すいかおたべました。
・きのう、ぼく【わ→は】いとこのいえ【え→へ】あそびにいって、すいか【お→を】たべました。
※注意
「へ」は「に」を使っても同じ意味になることがありますが(「いとこのいえに…」)、ここでは勉強のために「へ」を使うよう話しましょう。
【3】「文づくりゲーム」をしよう
3つめの学習法は、ことばのカードを準備して、それを組み合わせながら文章を作る方法です。
準備することばのカードは、まず助詞である「は」「わ」「を」「お」「へ」「え」。1枚だけでは足りなくなる可能性がありますので、助詞のカードは同じものを数枚ずつ作っておきましょう。
さらに、「ぼく」「あなた」「おかあさん」「がっこう」「どうぶつえん」「としょかん」「パン」「バナナ」「本」「べんきょう」などの名詞のカード作り、述語の中心となる動詞を含む「しました」「行きました」「読みました」「食べました」といった日常生活で行う動作を表すカードも作ってください。
カードの準備ができたら、これらのカードを組み合わてさまざまな文章を作りましょう。表現したい内容と助詞の組み合わせを簡単に変えられますので、ゲームを楽しみながら助詞の使い方を練習できます。
【4】「てにをは」を意識して文章を書こう
以上の学習法で、ことばの区切り・助詞の使い方の修正・助詞を使った文章作りの練習ができます。練習を重ねて上手に助詞を使えるようになったら、最後はいよいよ実際に文章を書く練習へ進みましょう。
文章を書く際は、「何でもいいから書いてごらん」とするのではなく、テーマをあげることがポイントです。たとえば、「友達と遊んだこと」「動物園で楽しかったこと」など、場面を限定してあげることで、文章を作りやすくなるでしょう。
文章を書くときは、助詞の使い方を練習をするために主語を省略しないことをルールにしてください。「AはBをした」「AはCへ行った」など、助詞を意識しながら書くことが大切です。
まとめ & 実践 TIPS
助詞「は」「を」「へ」の使い方は、子どもにとっては難しいもの。「こんなこともわからないの」と叱るのではなく、さまざまな方法を用いながら、できたことを褒めるようにしましょう。
「は」「を」「へ」をマスターするには、くり返し練習して慣れることが何より大切です。今回ご紹介した学習法のように、できるだけ言葉遊びの要素を取り入れながら楽しく練習できるよう、根気強くサポートしてあげてください。