国の高校生留学支援、2年目の現状は

民間企業などからの寄付金により大学生などを海外に送り出す、政府の官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」をご存じでしょうか。大学生の留学支援は2014(平成26)年から始まりましたが、高校生の留学支援も15(同27)年から開始されており、第2期派遣留学生の選考結果が発表されました。同プログラムによる「高校生コース」とは、どんな内容なのでしょうか。

さまざまなコースに高校生510人が採用

高校生コースの2期目となる2016(平成28)年は、募集人数が300人から500人に増員されるとともに、短期の語学留学を対象とするコースなどが新設されたのが特徴です。第2期派遣留学生は応募者2,057人(男子620人、女子1,437人)の中から選考の結果、510人(男子139人、女子371人)が選ばれました。採用者の中で、女子は男子の約2.7倍となっており、海外留学に対する女子の人気の高さがうかがわれます。学校別に見ると、全国で816校の高校から応募があり、そのうち330校の生徒が採用されました。

高校生コースの内容は、観光や調理などのキャリアカレッジでの学習や職業現場でのインターンシップ、実地研修などを行う「プロフェッショナル」コースが応募87人・採用50人、海外のトレーニングセンターや芸術学校などで技量の向上を目指す「スポーツ・芸術」コースが応募225人・採用90人、NGOなどが主催する支援活動に参加するほか、国際協力への理解を深める「国際ボランティア」コースが応募191人・採用90人、となっています。これらのコースの留学期間は、2週間~3か月です。

短期の語学留学コースも新設

メインとなる海外の高校などに留学する「アカデミック」コースは、今回から二つのコースが新設され、合計3コースとなりました。新たに設けられたのは「アカデミック(テイクオフ)」コースと「アカデミック(ロング)」コースです。

テイクオフコースでは、海外の語学学校のプログラムに参加し、異文化交流を行うというもので、留学期間は2~3週間と短いのがポイントです。応募は984人、採用は155人でした。テイクオフコースは、中学3年生の段階での応募も可能で、中等教育学校や併設型中高一貫教育校などの生徒が申し込んでいます。

逆に留学期間が長いのがロングコースで、海外の高校に長期間通学してさまざまな科目を学習するため、4か月~1年間の長期留学をすることになっています。応募者は214人、採用者は22人でした。また従来のアカデミックコースは「アカデミック(ショート)」コースとなり、2週間~3か月の留学期間で、海外の高校や大学のサマースクールなどに参加して学習することになっています。応募者は356人、採用者は103人でした。

派遣留学生には、渡航費・授業料・現地活動費などの費用が返済不要の奨学金の形で支給されます。支給額は留学先の地域や家計基準によって異なりますが、たとえば「アカデミック(テイクオフ)」コースの場合、14万4,000~36万円の奨学金が支給されます。

高校留学を希望する生徒やその保護者などは、同プログラムについて知っておいてもよいかもしれません。

  • ※平成28年度官民協働海外留学支援制度~トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム【高校生コース】~第2期派遣留学生の選考結果
  • http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/tobitate/1371389.htm

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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