SSHやSGHが大学入試改革などの先導役に!?
文部科学省は、高校段階で、将来のリーダーとなれるような人材を育成する「スーパーサイエンスハイスクール」(SSH)、「スーパーグローバルハイスクール」(SGH)、「スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール」(SPH)の指定事業を行っています。これら「超高校」は、それぞれ特色ある教育を進めるということにとどまらず、新たな役割も期待されています。「高大接続改革」「教育課程改革」を車の両輪とした「明治以来の大改革」の先導役です。
科学技術人材の育成を目指したSSHは、2002(平成14)年度から始まりました。指定期間は5年間ですが、再指定される高校も多く、全国で200校以上が指定されています。理数系に力を入れる進学校ばかりでなく、専門高校も入っています。4月から、24校が新規に指定されました。一方、グローバルリーダーの育成を掲げたSGHは、2014(平成26)年度からと、まだ始まったばかりですが、新規指定11校を加えて、123校になりました。ここにも専門高校が入っている他、SSHとダブル指定を受けている高校もあります。専門高校に限ったSPHも、SGHと同じ2014(平成26)年度からの開始で、指定期間は3年または5年間。今年度も、新規に10校が指定されました。
このうち、15年目に入ったSSHの生徒たちは、国内外の学会で発表したり、論文が学術誌に載ったりする例も続出するなど、目覚ましい成果を挙げています。後発組であるSGHやSPHも、今後に期待が持てます。そうした実績などを踏まえて、教育改革の先導役も期待されるようになってきたのです。
大学入学者選抜と高校教育、大学教育を一体で改革する「高大接続改革」では、当初、大学入試センター試験に代わって2020(平成32)年度に創設する「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」で「合教科・科目型」の問題を出題できないか検討していましたが、やはり難しかったようです。その代わりに登場したのが、学習指導要領を改訂して、数学と理科にまたがる「数理探究(同)」を高校の選択科目として設置し、それを学力評価テストでも出題しようという構想です。その数理探究は、SSHの取り組みを参考にすると明記されています。難関大学などが、数理探究を科目指定してくる可能性は高そうです。次期指導要領が全面実施される現在の小学4年生以降(2025<平成37>年度以降の大学入学者選抜を受験)にとっては、注目です。
次期指導要領を検討する中央教育審議会の「論点整理」(昨年8月)でも、SSHはもとより、SGHやSPHの成果を生かすことが盛り込まれました。これらの高校で行われている、課題発見・解決学習などが、次期改訂の目玉とされる「アクティブ・ラーニング」(課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び、AL)の好例と評価されてのことです。
もともとSSH・SGH・SPHは、単に各高校で取り組むだけでなく、その成果を他校にも広げる役割も期待されています。指定校以外でも、指定校を参考にしつつ、その高校の実態に応じた意欲的な取り組みが求められます。
(筆者:渡辺敦司)