大学入試改革 「高等学校基礎学力テスト」適用は現小3からのナゼ
大学入試の改革の焦点だった2つの新テストのうち、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を入試などに活用できるようになるのは、今年度の小学3年生が高校2年生になって同テストを受ける2023(平成35)年度からということがわかった。なぜ、このような方針になったのか、ベネッセ教育情報サイトでは、教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に聞いた。
「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の主な目的は、中間まとめにもあるとおり、高校生の学習意欲を喚起し、学習の改善を図るとともに、学校の指導改善にも生かすことで、高校教育の質の確保・向上を図ることにあります。そのもとになった中央教育審議会の高等学校教育部会では当初、小中学校と同様、原則として高校生全員を対象とする「悉皆(しっかい)調査」にする案が文科省事務局から示されていました。しかし、テスト結果が高校長の卒業認定権を制限しかねないことや、専門高校などには各種検定試験など質保証の仕組みが既にあることなどを理由に、高校関係者を中心とした委員から反対意見が相次いだため、「希望参加型」に落ち着いたのです。
基礎学力テストの「副次的な活用方法」として、推薦・AO入試などで基礎学力を把握する手段として、入試にも活用できる道を開いたことは、昨年12月の中教審答申と変わりません。ただし、現行の指導要領下では国語・数学・英語の3教科に絞るとともに、「試行実施期」と位置付けて入試などへの活用を控えるという点で、答申との違いがあります。背景には、新テストの開発が遅れ、導入当初には入試などに活用できるほど信頼性のあるテストができない可能性が出てきた、という事情があるものと見られます。
大学入試センター試験に代わるもう一つの新テスト「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」は、既に紹介したとおり、基礎学力テストの状況も見ながら、現行指導要領と次期指導要領でバージョンアップさせながら導入したい考えです。しかし、基礎学力テスト自体が導入前からつまずいた格好になるなか、さらに出題が難しいと見られる学力評価テストの動向が今後どうなるかについても、ますます目が離せなくなったと言ってよいでしょう。
出典:「基礎学力テスト」、大学入試に使えるのは今の小3から!? -ベネッセ教育情報サイト