マイナスの思い込みは子育てに禁物! 子どもを枠にはめずにのびのび育てるには【後編】

保護者の声かけや態度が、子どもの思い込みを生むことにつながることがあります。さらに、子どものころに刷り込まれた思い込みが、大人になってからも考え方や行動に影響を与えることもあります。そこで、心理学の人格形成や思い込みの分野を研究している四国大学教授の鈴木敏昭先生にお話を伺います。
前回は、マイナスの思い込みの注意点と予防策についてご紹介しました。今回は、思い込みを上手に活用し、子育てに生かす方法をお伝えします。上手に思い込みを活用し、子どもをのびのびと育てていくにはどんなポイントがあるのでしょうか。



プラスの思い込みを生かしていく方法を考えよう

思い込みには、マイナスの思い込みとプラスの思い込みがあります。人生においてすべての思い込みを排除することはできません。そのため、マイナスの思い込みは極力ゼロにし、プラスの思い込みを上手に活用する方法を考えていくことが重要なのです。

プラスの思い込みを自在にコントロールできるようになると、自信や目標に対しての実現力、前向きな思考などにつながっていきます。「自分ならばできる」「こうすればうまくいくはずだ」「なんとかなる!」と、自分を思い込ませることができるようになるからです。



子どもの自己肯定感を生む接し方を

プラスの思い込みの最たるものは、「自分の存在に価値がある」というものです。これは、自己を肯定する概念、すなわち自己肯定感などと呼ばれる前向きな心に下支えされた価値観です。
自己肯定感は、「あなたがいるだけで幸せよ」という保護者からの言葉や態度から生まれるといわれています。自己肯定感は、「自分ならばなんとかできるだろう」という自信となり、人生の多くの試練にへこたれずに立ち向かうことができる根源的なパワーになります。
その前提の上に、適度な挫折を経験すると、しなやかな強さが備わっていきます。この強さは、子どもの未来を明るく照らしてくれる力になるでしょう。

一方で、自己を肯定できていないと、「なんとかなるさ」という楽観視ができません。究極的には、自分を追い詰めたり、他者に攻撃的になることで不安を解消したりということになりかねません。



人生を楽しむ! 親の背を見せて子どもを育てる意識を持つ

続いて、親の背を見せることを意識しましょう。具体的な方法としては2つあります。

(1) 保護者の人間関係の充実度を見せる
心理学の分野では「母子密着」という言葉が使われたりしますが、母的な存在と子どもが永続的に密着しているとよい結果を生みません。母的な存在からのプレッシャーに子どもが押しつぶされたり、子どもに依存してしまう保護者となってしまったりするためです。

そのため、社会を感じさせる役割としての父親的な存在が必要となります。それは、夫(父親)や友人、祖父母などです。重要なのは、母の役割を担う者が自分(子ども)以外に懇意にする他者がいるのだということを認識させることです。すなわち、世の中は母子だけの世界で完結しているのではなく、母親役はほかにも社会を持っているのだということを子どもに伝えるのです。
母親役と父親役との関係性を見て、子どもは自立を促されるのと同時に、母親役を一人の人間として意識するようになります。これにより、母子密着の中から生まれる思い込みを回避できるのです。

(2) 夢中になれるものを見つける
保護者が人生を楽しんでいるということを見せることで、子どもは自身の人生にも期待するようになります。そして、保護者を一人の人間として認識できるようにもなります。
一方で、保護者がすべてを投げ打って、子どものために生きているとしたら、子どもは息苦しさを感じてしまいます。人生を楽しんでいると、「子どものため」ではなく、「自分のため」として生きることができます。そして、これにより「自分はどう思うか」という自身の意見を語れるようになっていくものです。
夢中になるものは、趣味でも仕事でも資格の勉強でも構いません。可能であれば自分が夢中になっている姿を子どもに見せるとよいでしょう。子どもと一緒に自分も資格の勉強をする、子どもに職場見学をさせるなどは有効でしょう。

プラスの思い込みを上手に活用することで、保護者と子どもの風通しもグンとよくなるはず。子どもの存在の大切さを本人に伝え、保護者自身が社会の中で人生を楽しむことを、ぜひ実践してみてくださいね。


プロフィール

鈴木敏昭

鈴木敏昭

四国大学生活科学部児童学科教授。京都大学大学院教育学研究科修了。自己意識の構造をメインテーマとして、思い込みや人格形成などの研究をしている。

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