もっと子どもに頼ってみよう![やる気を引き出すコーチング]

夏休みの時期、普段より、お子さま連れが多い空港や駅などは、いっそうにぎやかに感じられます。たくさんの声が飛び交います。私などは、職業病なのか、つい、そんな声に耳がたってしまいます。
「早く来なさい! 早くー!」「もう静かにして!」という声に交じって、「ほう! 面白い!」と思わず、声の主のほうをふりかえってしまうようなコミュニケーションに出会うこともあります。



もっと子どもに頼ってみよう![やる気を引き出すコーチング]


子どもに道案内をお願いするお母さん

母:「○○ちゃん、何番ゲートに行けばいいんだっけ? チケットに何て書いてある?」
子:「えっとねー、60番」
母:「60番って、どこかな?」
子:「えーと、あ! あそこに、地図がある!」
母:「今、私たち、どこにいるの? どうやって行ったらいい?」
子:「えっと、ここだから……わかった! こっちのほうに歩いていけばいいよ!」

小学校低学年ぐらいの男の子ですが、なかなかに頼もしいガイドぶりです。このお母さん、わざとそうしているのか、本当に不案内なのか、お子さんにずっと質問をして、確認しています。その都度、お子さんは、自分で考え、お母さんをリードしていきます。「早く! こっちに来なさい!」と叫びながら、子どもをひきずっていくお母さんの姿がある一方で、なかなか興味深い光景でした。
「こんな体験からも、自分で考え、行動する習慣って身に付いていくんだな。関わり方って大事だな」と思わされたしだいです。



子どもに相談してみる

子どもに「勉強しなさい」と言ったことが一度もないというKさんは、ちょっとユニークな人です。お子さんが小学生のころから、折々に、お子さんに相談しながら物事を進めてきたそうです。
「今日の晩ごはん、何がいい?」
から
「明日は雨みたいだけれど、出かける予定、どうする?」
など、すべて子どもに相談します。さらには、
「PTAの集まりがあるんだけれど、今日はあまり気が進まないんだよね。○○ちゃんは、どうしたらいいと思う?」
「あなたの卒業式に、お母さん、何を着ていったらいいと思う?」
など、自分の問題まで相談してきたそうです。
その都度、お子さんは、自分なりに考えて、意見を言ってくれました。「そうじゃないな」と思う意見が返ってきても、こちらが相談した手前、いったんは受けとめるようにしたそうです。

お母さんがこんな調子なので、お子さんのほうは、進路選択も自分で考え、そのために必要な勉強に自発的に取り組みました。今では、成人されて、自分のやりたい仕事でイキイキと活躍されているとのこと。「子どもの心配はまったくないかなー」と優雅に話すKさんです。小さいころから、Kさんに相談されることで、お子さんの自発性と問題解決力はずいぶん育まれたのではないでしょうか。



頼られると、子どもは「自己肯定感」が持てる

「こうしなさい」と一方的に言われるだけでは、考える力も自発性も芽生えません。一方で、自分が頼りにされているとか、自分の意見を大人に尊重してもらえたと思うと、子どもは自分の存在価値を感じることができます。また、質問されることで、自分なりに解決策を考える習慣が身に付きます。「自分の課題は、自分で考え、解決できる」という自己肯定感も持てるでしょう。

「子どもだから、大人が教えてやらないとわからない」として接するよりも、逆に、どんどん頼ってみると、子どもの自発性は引き出されていくように思います。もちろん、質問をして、相手が考えるのを待って、行動に移すまでには時間が必要です。「こうしなさい」と言って、相手を動かしたほうが早い場面は多いでしょう。でも、長い目で見た時に、「こうしなさい」と言われないと、自分では考えられない、動けない子どものままでいることは、お互いにとって、決して幸せなことではありません。

大人が勇気を持って、子どもにもっと頼ってみてはどうでしょうか。

『言葉ひとつで子どもが変わる やる気を引き出す言葉 引き出さない言葉』『言葉ひとつで子どもが変わる やる気を引き出す言葉 引き出さない言葉』
<つげ書房新社/石川尚子(著)/1,620円=税込み>

プロフィール

石川尚子

石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。近著『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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