自立を促す夏休みの親子コミュニケーション(前編)

比較的時間のある夏休みは、将来のことや、普段の生活について、お子さまとじっくり話をするよい機会です。しかし、お子さまは思春期真っただ中。コミュニケーションをとるのがだんだん難しくなってきたと感じる保護者のかたも多いのではないでしょうか。今回は、この夏、お子さまの自立を後押しする親子コミュニケーションについて、前後編にわたって考えます。


夏休みの過ごし方を、事前に親子で話し合いましょう

 いよいよ夏休み。お子さまには、いろいろなことに挑戦して、充実した毎日を送ってほしいですよね。しかし、気分も開放的になる夏休みは、保護者のかたの願いとは裏腹に、ゲームやスマートフォンでついつい夜更かしをしがち。その結果、朝は毎日遅くまで布団の中…といったように、生活習慣が乱れがちです。また、部活動に所属しているお子さまは、練習が毎日あるという場合も。夏休みの終わりになって、気づけば「部活動以外何もしなかった!」と後悔することも多いようです。

 

こんなふうに後悔をしないためには、まず、夏休み前に親子で夏休みの過ごし方について話し合っておくことが大切です。特に、起床時間、学習計画、家の手伝い、帰宅時間、就寝時間など、生活習慣を乱さないための最低限のことについて話し合っておくといいですね。また、夏休みだからこそできるいつもとは違う体験もさせてあげたいものです。

 

しかし、相手は思春期真っただ中のお子さま。「話し合おうと思ってもずっと不機嫌」「何を言っても反抗ばかり」など、冷静に話し合えないとお悩みの保護者のかたもいらっしゃるのではないでしょうか。

 

では、そんな「コミュニケーションが難しいお子さま」とどう接すればよいかを考えていきましょう。

 

 

「自分で決めた」という実感を持たせることが大切!

 この時期のお子さまは、徐々に自分のことを客観的に見ることができるようになり、「親に頼らずに自分の力で歩いていきたい」という気持ちが強くなるようです。これは、順調に大人への一歩を進んでいる証拠でもあります。しかし、その反面、まだ精神的に子どもの部分も残っており、親に甘えたいという気持ちも。「大人」と「子ども」を行き来する中で生まれた葛藤(かっとう)が、「保護者への反抗、いら立つ」という形で表に出てくる場合もあるようです。

 

こうした時期のお子さまと向き合うために大切なのは、今までの上下の親子関係から、一人の人間として、お互いの個性を認め合う「横の関係」に、少しずつ関係を見直していくことです。

 

親子の時間が多い夏休みは、今までの関係を見直すよい機会。夏休みの過ごし方を考えるときでも、否定したり批判的な言葉を言わず、まずは聞き手に徹し、「夏休み、どうやって過ごす?」と聞いて、お子さまの考えを引き出してあげるようにしましょう。

 

そのうえで、先輩の一意見として「私はこう思うよ」「こんなやり方もあるよ」など、保護者のかたの考えを示し、最終的にはお子さま自身で、夏休みの過ごし方を決められるようにしましょう。「言われたからやる」のではなく、「自分で選んだ」「自分で決めた」という実感を持たせることは、決めたことに責任を持って実行するためのモチベーションにもなりますし、お子さまの自立を促すためにもよいことです。「応援してるからね」「困ったことがあったらいつでも言って」と、サポートする姿勢があることを伝えてあげるのも大切です。

 

後編では、学年別にこの夏、親子で深めておきたいコミュニケーションについて考えてみましょう。

 

 

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