発表!子どもたちが憧れる戦国姫ランキング 上位に三姉妹と凛々しいあの姫
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戦国時代の姫君たちの生きざまを描いた藤咲あゆな先生の人気シリーズ『戦国姫』(集英社みらい文庫)。
進研ゼミ会員向けサービス「電子図書館まなびライブラリー」では、『戦国姫』花の巻、鳥の巻、風の巻、月の巻に登場する姫君30名を対象に、小中高生読者による総選挙を実施。約2.5万人もの子どもたちからの投票が集まりました。
そのランキングと藤咲先生のコメントをご紹介します。
『戦国姫』総選挙 上位ランクインの姫君は?
堂々1位・・・茶々
「大坂城で落城まで生き抜いた茶々は猛女のイメージが強いですが、実は穏やかで信心深い女性。家族や妹2人のことを見守った、心優しい姫君です」と藤咲先生。
読者コメントでも「自分が一番上のお姉ちゃんだから、何があっても絶対に妹たちを守らなければという意思が、何回も出てくるところが好きです(小6)」など、大切な人を守りたい気持ちに共感するものが多く見られました。
母はお市の方、父は浅井長政。浅井三姉妹の長女で天下人・秀吉の側室となり、豊臣とともに滅んだ悲劇の姫君でした。
2位・・・濃姫
「濃姫には織田信長と対等に渡り合える頭のよさがあったと思います。また、戦国の姫たちは武勇に長けていて、なぎなたくらいはできて当然だったんですよ」と藤咲先生。戦国姫たちはおしとやかなだけではなく、いざという時に戦える準備をしていたのです。
「常識にとらわれない、言葉のひと言ひと言に、静かな熱い思いが。最後まで、夫、織田信長を愛し続けた(小5)」との読者コメントに代表されるように、芯の強さを持った強くて美しい姫君だったのです。
濃姫は美濃(今の岐阜県)の大名・斎藤道三の娘で、織田信長の妻となりました。帰蝶(きちょう)という呼び名も。最期は本能寺で信長と運命を共にしたとも言われますが、残念ながら濃姫の生涯については史料が乏しく、あまりよくわかっていません。
3位・・・初姫
「大坂の陣以前からずっと姉の茶々を助けようとしていました。これまではあまりスポットが当たらない姫だったので3位に入ってうれしい!」という藤咲先生。姉の茶々姫や妹の江姫とは違ってめだつ人ではありませんでしたが、大坂冬の陣で講和の使者となり、戦国にしっかり功績を残しました。
読者コメントに「千姫をなだめながら戦況を見極めるのがかっこいい!!!(小6)」とありました。大坂の陣で敵味方に分かれた姉と妹。姉(茶々)の息子に輿入れした妹(江)の娘・千姫をいたわるシーンが、初姫の賢さを象徴しています。
浅井三姉妹の次女であり、いとこの京極高次(きょうごく・たかつぐ)に嫁いだ初姫。夫の死後は出家して尼に。生涯四度の落城を経験した、まさに波乱万丈の姫君です。
4位・・・井伊直虎
藤咲先生からは「男勝りな印象は人生におけるすれ違いの結果。婚約者と生き別れたり、出家したりなど、タイミングに泣かされた姫君なんです」とのコメントが。
「家族が次々と死んでしまうのに、頑張って戦っていてすごい!!(小5)」との読者コメントにあるように、信頼できる家族を失っても一人で戦国の世を生き抜いたすごさがあります。
井伊直虎は遠江(現在の静岡県西部)の井伊谷で、女性ながら領主となりました。養母として徳川家康の家臣の中でも「四天王」として有名な井伊直政を育て上げた、優しくたくましい姫君です。
5位・・・お市の方
「浅井長政の妻だった時には三姉妹の母として生き延びましたが、娘たちが大きくなってからは柴田勝家の妻として生き、安心して逝くことができたのではないでしょうか」と藤咲先生。何より三人の娘を大切に思っていた姫君です。
「お市の方が、浅井三姉妹を産んで、幸せになっているシーンでは、見ているこっちまでうれしくなりました(小6)」というコメントが寄せられたように、お市の方にも幸せな時間がありました。
お市の方は織田信長の妹。「戦国一の美女」として知られます。浅井長政に嫁ぎ、茶々姫・初姫・江姫をもうけますが、兄により滅ぼされてしまいます。その後、柴田勝家に嫁ぎ、豊臣秀吉に攻め落とされて添い遂げました。戦国の世に翻弄(ほんろう)されつつも、家族のため、愛のために駆け抜けた日々でした。
6位・・・江姫
藤咲先生は江姫について「将軍の御台所(みだいどころ、将軍家など貴人の妻)になっただけでなく、五女・和子(まさこ)が天皇に嫁ぎ、孫が天皇(明正天皇)になるなどファーストレディーを極めた存在です。運命に翻弄されつつも強く生きた人です」と教えてくれました。
読者は江姫の強さに心を打たれたようです。「離婚や死別などつらいことがあってもたくましく戦国の時代を生きているから(小4)」という声が。
茶々姫・初姫を姉に持つ末娘。最初の夫とは離縁、二度目は豊臣秀吉のおい・秀勝に嫁ぎましたが、のちに家康の後継者の徳川秀忠の妻に。江戸幕府の三代将軍・徳川家光を生みました。娘の千姫を姉の息子である豊臣秀頼に輿入れさせるなど、戦国の世の葛藤の中を生きました。
『戦国姫』をとおして伝えたいこと
ここまで上位ランクインの姫君をご紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
今回の『戦国姫』総選挙をとても楽しみにされていた藤咲先生からは「結果と投票コメントから、姫君たち一人ひとりの魅力を感じてもらえていることがわかって、心からうれしく感じています」とのコメントが。
「『戦国姫』は、姫君たちのまだ知られていない意外な一面を伝えたいと思って書いたので、『そうだったんだ!』という声も多くて手ごたえがありました。いろんな姫君がいますが、共通しているのは心の優しさや絆を大切にしているところ。だからこそ勇敢なのです」(藤咲先生)
新型コロナウイルスの感染拡大などもあり、これまで以上に命の大切さが見直されてきている令和の時代。『戦国姫』読者の子どもたちは、戦国時代の人間ドラマにわくわくしつつも、姫君たちの生きざまから、いつの時代も変わらない人の絆や生きる意味を学んでいます。「姫君たちに『共感』して、自分の生活に生かしてほしい」という藤咲先生の願いはしっかりと届いています。
歴史好きの子どもを育てるキーワードは「ときめき」?
歴史ものを多く手がける藤咲先生は、どのように歴史に親しんだのでしょう。そこに、子どもを歴史好きにする、歴史に興味を持つようになるヒントがありそうです。
「子どもの頃、父が神社・仏閣、史跡巡りに連れていってくれ、母が池波正太郎の歴史小説を読み聞かせてくれました。さらに、『日本の歴史』シリーズが20冊ほど家にあってよく読んでいました」という藤咲先生。家族が与えてくれたものをきっかけに「歴史って楽しい」という思いが育っていったのですね。
戦国の姫への興味に目覚めたのは、「子どもの頃から大河ドラマをよく見ていて、特に『本能寺の変』のシーンで、なぎなたを手に戦う濃姫の姿にときめいたことから」と言います。好きな姫にかかわる人物や出来事を知ることで、さらに戦国の姫君や武将の世界に引き込まれたそうです。
ときめく歴史人物に出会うことは、歴史への興味を大きく伸ばす力に。ドラマや歴史マンガなど親しみやすいものから入ることもおすすめとのことです。
総選挙の投票コメントには「地元の歴史人物だからよく知っている」「近所にゆかりのお寺があるようなので行ってみたい」という声がたくさんありました。藤咲先生も各地を取材して歩かれるそうです。ゆかりの地や資料館、図書館に行くと、歴史上の人物が生き生きと語りかけてくると言います。ぜひ自分の目で確かめ、触れられるものには触れてみる、そんな体験をしてみてはいかがでしょうか。
友達や家族と『歴史クイズ』をすることも藤咲先生のオススメです。「〇〇って何をした人でしょう?」「〇〇姫の夫は誰?」など、アニメやゲームの話をするのと同じ感覚で歴史を楽しめば、遊んでいるだけで自然と身につきます。
教科書には歴史上の重要な事柄がきちんと書かれています。しかし、歴史の大きなうねりの裏側には、知られざる人間ドラマが。『戦国姫』で描かれているのは、まさにその、人と人との心のやりとりなのです。子どもの歴史への興味を育て、今にもつながる絆や優しさを知る手だての1つとしても、『戦国姫』シリーズを役立ててみませんか。
関連:「まなびライブラリー・たいけんひろば」で小中高生におすすめの本をためし読み!
●『戦国姫』総選挙 1位~10位
<『戦国姫』総選挙:「電子図書館まなびライブラリー」を利用する小中高校生、2021年7月27日~8月31日、25,418票>
●『戦国姫』総選挙の姫君30名を掲載の、花鳥風月の巻4冊
『戦国姫 —花の巻— (集英社みらい文庫)』
時は戦国時代。時代の波に翻弄(ほんろう)されながらも、戦乱の世を果敢に生きた姫君たちがいた。天下統一をめざす豊臣秀吉の思惑により、3人の武将の元に嫁いだ江姫。徳川と豊臣の架け橋となるべく、わずか7歳で豊臣秀頼に嫁いだ千姫。うつけ者とうわさされる織田信長の元へ嫁いだ濃姫。ほか、戦国時代を華麗に生きた、7名の姫君たちの物語。
https://www.amazon.co.jp/dp/4083210788/ref=nosim/benessejp-22
『戦国姫 —鳥の巻— (集英社みらい文庫)』
豊臣家のリーダーとなった姉・茶々と、徳川家の二代将軍に嫁いだ妹・江。敵対する立場になった姉妹の架け橋になるべく、力を尽くす初姫。義父の徳川家康から婿選びを命じられた小松姫。彼女が選んだお相手は? 父・明智光秀の謀反により、過酷な運命を背負うことになった細川ガラシャ。ほか、戦国時代を果敢に生きた、7名の姫君たちの物語。
https://www.amazon.co.jp/dp/4083211253/ref=nosim/benessejp-22
『戦国姫 —風の巻— (集英社みらい文庫)』
父母の仇・豊臣秀吉の側室となり、大坂城落城とともに滅ぶことを選んだ浅井三姉妹の長女・茶々。兄と息子の戦いを止めた「奥羽の鬼姫」こと義姫。家のため三度もの戦略的結婚を受け入れ、婚家を守るために苦渋の決断をした満天姫。男の名を名乗り、代々続く家を守った井伊直虎。嵐の中、水軍を率いて戦った大祝鶴姫の悲恋物語…など、戦国時代を吹き抜けた9名の姫君たちの物語。
https://www.amazon.co.jp/dp/4083211628/ref=nosim/benessejp-22
『戦国姫 —月の巻— (集英社みらい文庫)』
織田信長の妹であるお市は、兄の命令で浅井長政の元へ嫁ぐことに。政略結婚でありながら、2人の間には愛が芽生え、かわいい子どもたちにも恵まれ、お市は幸せに暮らす。が、それは長くは続かず、夫と兄が敵対関係になってしまい…!! 浅井三姉妹(茶々・初・江)の母であり、戦国一の美女とうたわれた、お市の方の生涯。ほか、戦国時代をたくましく生きた、7名の姫君たちの物語。
https://www.amazon.co.jp/dp/4083212004/ref=nosim/benessejp-22
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