自立を促す夏休みの親子コミュニケーション(後編)

思春期真っただ中のお子さまとコミュニケーションをとるのが、だんだん難しくなってきたと感じる保護者のかたも多いはず。後編では、この夏、お子さまの自立を後押しする親子コミュニケーションについて「学年別」に考えます。実際にはお子さまの状況によって言葉のかけ方が決まってきますが、「学年別」の違いを、お子さまに合ったコミュニケーションを考える際の参考にしていただければと思います。


【中学1年生のお子さま】小学生の夏休みの過ごし方から脱皮できるように導いてあげましょう

 中学1年生は、まだまだ小学生の意識が抜けきらない学年です。それでいて夏休みは、1学期の緊張が一気に解けるため、「思いっきり遊ぼう!」というワクワクした気持ちでいっぱいのお子さまも多いと思います。しかし、部活動が毎日あるお子さまも多く、部活動と遊びだけで夏休みが終わってしまう可能性も。

 

スムーズに2学期を迎えるためには、生活習慣が乱れないように規則正しい生活を送るだけではなく、自分で計画を立てて少しずつ学習しておくことが大切です。例えば、8月の中旬までに1学期の復習をすませ、8月後半は2学期の予習をするなど、目標を親子で一緒に立てられるといいですね。しかし、中学1年生の段階では、すべて自分で計画を立て、実行するのは難しい場合もあるでしょう。学習が思うように進んでいない場合には、一緒に学習計画を見直してあげましょう。

 

また、せっかくの夏休みなので、普段はできない体験をするようお子さまに提案してみるのもよいのではないでしょうか。お子さまだけで職業体験やキャンプに参加したり、夏休み限定の習い事に通ってみたりするのもお子さまの自立や自信につながりますし、親子の会話も弾むはずです。

 

また、家族で旅行などをする場合は、一緒に旅行の計画を立てたり、お子さまにホテルを予約してもらったり、行き方を調べてもらったりするのもおすすめです。「親子で一から一緒に何かを作り上げる」という体験は、親子の絆(きずな)を深めますし、「自分でできた」という達成感や、「親から頼りにされている」という実感を持たせることは、お子さまの自立心や責任感を養うためにも大切です。

 

 

【中学2年生のお子さま】高校や、その先の将来のことが考えられるような体験を

 部活動では、中学3年生が引退したあと、中心的な役割を担うようになる中学2年生。その分、プレッシャーも大きくなり、緊張することや、疲れることも多くなるでしょう。こうした経験も、自立に向けて大切な第一歩。ご家庭ではお子さまがリラックスできて、話をしやすいような雰囲気づくりを心がけたいですね。

 

「悩みがありそうなのに、なかなか学校や部活動のことを話してくれない」という場合には、お子さまの好きなテレビを一緒に見ながら雑談から始めてみる、趣味の話や好きな芸能人などの話で盛り上がってみるのもよいかもしれません。悩んでいることを話さなくても、リラックスするだけで気持ちが楽になることも多いようです。

 

また、中学2年生は、そろそろ高校入試について考えたい時期でもあります。そこで、おすすめしたいのが高校見学。夏休みは多くの高校で、高校見学を実施しています。志望校はまだ決まっていないという場合でも、最寄りの高校、興味のある高校などに親子で行ってみましょう。この時期、「将来のことを親に面と向かって話すのは恥ずかしい」というお子さまも多いと思いますが、高校見学は、将来の夢や、興味のあることなどを話すよいきっかけになるのではないでしょうか。一人の先輩として、保護者のかたの体験談を話してあげるのも効果的です。今後の目標や、あこがれの高校が見つかれば、学習へのモチベーションも高まるはずです。

 

 

【中学3年生のお子さま】受験に向けて気持ちが切り替えられるようサポートを

 部活動を引退し、受験勉強にも本腰を入れ始めなければいけない夏休み。しかし、部活動を一生懸命がんばった分、気が抜けてしまい、受験勉強をやる気が起こらないというお子さまもいらっしゃると思います。その場合には、お子さまのスイッチが切り替えられるような提案を、保護者のかたがしてあげるのも一つの手です。

 

あこがれの高校の見学に行くのもいいですし、さらに先の大学の雰囲気を体験させてあげるのもよいかもしれません。自分が興味のある分野の社会見学イベントに参加するのもおすすめですし、勉強のことを一旦忘れて期限を決め、「一週間、好きなことを思いっきりする」などもよいでしょう。

 

「受験勉強しなさい!」ではなく、お子さまが自分でやる気を高め、「自分自身の目標を達成するために、勉強をがんばる必要があるんだ」と納得して受験勉強に向かえるように導いてあげてください。

 

受験勉強に疲れたときは、外食に連れ出してあげるなど、時には息抜きをさせてあげることも大切です。この時期、「親とは一緒に出かけたくない」というお子さまも多いと思いますが、例えば、観劇や音楽コンサートなど、少し大人の雰囲気を味わえる場所などに誘うと乗ってくる場合もあるようです。また、夏バテをしないように、体調管理にも気を配ってあげましょう。こうした陰ながらのサポートが、親子の信頼関係につながります。

 

 

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