子どものうそ どう対応すべき?【後編】子どもにうそをつかせないために

ほんの小さなうそがきっかけで、人間関係がこじれたり、いじめに発展したりすることがあります。人を傷つけるようなうそをつかせないために、保護者はどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。スクールカウンセラーの渡辺友香先生にお伺いします。



気になるうそ

ちょっとしたうそであればそれほど気にする必要はありませんが、下記のような場合は、少し注意が必要です。

 ●うその回数が多い
 ●人に迷惑をかけたり誰かを傷つけたりするうそをつく

失敗をたびたび隠すようなことがあれば、保護者が過度にプレッシャーを与えており、うそをつかざるを得ない状況だということも考えられます。また、自信のなさから、もっと自分をよく見せたいという気持ちが根底にあるのかもしれません。ですから、「失敗しても大丈夫」「今のままで大好きだよ」ということを、折に触れて伝えておくことが大事だといえます。人に迷惑をかけたり、誰かを傷つけたりするようなうそをつく場合は、保護者だけではフォローできない場合もありますので、学校の先生に相談するなどしていただきたいと思います。
また、自分に都合のよいように解釈する傾向が強い子どもは、うそをついているつもりがなくても、本人の発言が実際とずれている場合があります。このような子どもは人からの信頼を失ってしまいがちですので、相手の気持ちを考えたり、客観的な視点を持ったりできるような支えが必要です。



失敗を素直に謝れるようなお子さまに

子どものうそを増やさないためには、失敗してしまったことを素直に謝れるような声かけを、普段からしておくことが大切です。たとえば、お皿を割ってしまった時に、お子さまは「ごめんね」と自分から言えるでしょうか。学校で叱られたり、失敗してしまったりしたことを、家でお話しできるでしょうか。そのようなやりとりができているかが、親子の信頼関係が育っているかどうかの見極めになるかなと思います。

もし、言い訳が多いなと感じたら、保護者の対応を少し変えてみると、お子さまの言動も変わるかもしれません。たとえば、ふざけて遊んでいてお皿を割ってしまったお子さまが、「僕じゃない、僕は何にもしていないよ」と言ったら、「ふざけちゃだめだって言っているでしょ」「どうしていつもそうなの!」と叱ってしまうかたも多いと思います。しかし、こうした対応では、言い訳をせずに素直に謝ることを学習することはできません。

まず、子どもを責める前に、「大丈夫だった?」と子どもを思いやる言葉をかけてあげます。そのうえで、「どうしてこうなっちゃったのかな?」と問いかけ、「食事中に走ると机の上のものが落ちちゃうから、気を付けようね」と伝えるのです。このようなコミュニケーションを積むことが、叱られて怖かった経験よりも役に立つはずです。



うそで片付けるのではなく、言葉で気持ちを伝えられるように

また、自分の状況や気持ちをうまく表現できないために、うそで逃げてしまうことがあります。たとえば、学校で友達とトラブルになったのに、保護者にうまく説明できず、何もなかったように振る舞ってしまうことがあるかもしれません。幼いころから失敗を叱って済ませるのではなく、「悔しかったんだね」などと気持ちを受け止め、一緒に考えてあげるとよいでしょう。失敗やつらかったことなど、もやもやした気持ちを言語化する経験をしておくと、簡単なうそで逃げずに済むようになります。また、感情表現は保護者がお手本になりますので、ご家庭のなかで、自分の気持ちを表現する語彙(ごい)をたくさん使って会話をしてほしいですね。

お子さまのうそには何らかの理由があることが多いです。その背景にある気持ちを汲み取ってあげられるよう、日頃から親子のコミュニケーションを大切にしましょう。そして、小さいトラブルが起こった時に丁寧に対応してあげることが大事だといえます。大きな問題が起きる前には、小さな問題が出てくることが多いからです。もちろん、お子さまが成長すればするほど、保護者だけでは気付くのが難しい場合もありますので、学校や周囲の保護者と連携しながら、お子さまの変化に気付いてあげることが大事です。


プロフィール


渡辺友香

臨床心理士、保健学博士。KIDSカウンセリング・システム研究会所属。現在、小学校・中学校・高校でスクールカウンセラーとして子どもの心のケアを行う。2児の母。

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