生物に学ぶものづくり バイオミメティクスって?

長い年月をかけて自然環境に適応し、進化してきた生き物たち。生存競争を勝ち抜くために獲得してきた、優れた能力にヒントを得て、ものづくりに活用していく方法があります。それがバイオミメティクス(生物模倣)。自然を破壊してでも発展を目指してきた時代を超え、環境に調和して発展していく未来を目指す私たちにとって、欠かせない方法になろうとしています。


もしもエアコンなしで生活するとしたら…

 今回取り上げるのは、空調技術。寒い時、暑い時、ついついエアコンに頼ってしまいがちです。だけれど、エアコンを使えばエネルギーを消費し、多少なりとも自然環境に悪影響を及ぼしてしまいます。もしエアコンがなくても温度を一定に保てたら、環境を気にすることなく、快適に過ごせそうですよね。でもそんな場所、作れるのでしょうか?

 

 

シロアリの巣がハイクオリティ!

 実は自然界の中には、すでにあったのです。それも害虫として嫌われているシロアリが作ったものとして。アフリカで見られる、5mの高さにも及ぶシロアリの巨大な巣・アリ塚の内部は、外気温が日中で60度、夜間には0度になるサバンナ地帯の気候にかかわらず、30度前後という一定の温度に保たれています。

 

 

まるで木の根を逆さまにしたように、細長い無数のトンネルが縦横に張り巡らされた巣の構造自体が、自然換気をうまく行うようにできているおかげです。暖められて上昇する空気の流れと、アリ塚の高い部分と低い部分との間にできる気圧の差によって行われる換気で、まるで肺の吸入と吐出のようなサイクルを実現しています。

 

 



ジンバブエにあるバイオミティクス

 この構造を利用して設計されたのが、ジンバブエの首都ハラレ市にあるイーストゲートセンター。日中には建物の壁で太陽からの熱を吸収し、夜間にファンを利用して内部へ送り込むことで空調を行っています。これにより、冷却装置のコストは従来の10%で済み、エネルギー消費自体も同市の同規模施設とくらべて35%も削減。エネルギーをまったく使わないわけではないですが、効果は絶大ですね。空調モデルの標準と呼ばれ続けるだけはあります。

 

しかし逆に言えば、自然の中にあるだけで温度を一定に保ててしまうアリ塚が、とても優れた構造だということです。アリ塚だけでも、まだまだ学ぶべきことは多そうです。

 

46億年の歴史が生んだ多種多様な生き物たち。私たちが知るべきことは、すでに自然の中の彼らが知っているのかもしれません。

 

 

参考:

Beyond biomimicry. What termites can tell us about realizing the living building.

JS Turner、R Soar

Proceedings of the First International Conference on Industrialized, Intelligent Construction (I3CON). Loughborough University, 14-16 May 2008. 18 pp.

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