教育委員で保護者が初めて3割を突破 女性委員も増加傾向
2015(平成27)年4月に施行される改正地方教育行政法により、教育行政における首長の権限が強まる見通しだ。それに伴い、一般市民から選ばれる教育委員の役割が、教育行政の中立性を守るために重要になるとの指摘もある。そもそも教育委員にはどのような人が選ばれているのだろうか。教育ジャーナリストの斎藤剛史氏が解説する。
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文部科学省が2年ごとに実施している「教育行政調査」によると、2013(平成25)年5月1日現在、市区町村などの教育委員会は全国で1,819あり、教育委員(教育長を除く)は7,276人います。委員に占める女性の割合は36.2%、「保護者」(19歳以下の子どもを持つ者)は30.3%で、いずれも過去最高。特に保護者の割合が初めて3割を超えたことが注目されます。いじめ問題への対応など教委批判の中で、首長によって選ばれる教育委員の構成も徐々に変わりつつあるようです。
ただ、教育委員(教育長を除く)の職業を見ると、「無職」が35.4%で最も多く、次いで医師や宗教家など「専門的・技術的職業従事者」が23.5%、会社役員など「管理的職業従事者」が19.5%となっています。いわゆる「地域の名士」が多く選ばれていることがうかがえ、文科省などは保護者、学校の教育活動に関わっている地域住民などを積極的に教育委員にするよう求めています。
一方、新しい教育行政制度により名実ともに教育委員会の代表者となる教育長の直前の職歴を見ると、「教職員」が38.9%、「地方公務員」が22.3%、「教育委員会関係職員」が20.9%。教職経験者は全体の69.7%、教育行政経験者は全体の79.9%にのぼり、退職した校長や教委事務局幹部などが大半を占めていることがわかります。
これからの教育長には、専門性と同時に住民のニーズにいかに的確に応えるかという手腕も期待されます。新制度のもと、首長がどのような人材を教育長に任命していくのか注目を集めそうです。
出典:教育委員で保護者が3割を突破、女性の割合も増加 -ベネッセ教育情報サイト