高校3年生になったら、夏までに入学前後の資金計画を立てよう!

新年度を迎えて、お子さまの通学先が変わられたご家庭もあるでしょう。高校に進学するお子さまのいるご家庭では、入学費用を払い終えた途端、制服代や体操着代、指定カバン代などの支出があって、予想以上にお金が出ていったと感じているかもしれません。
大学に進学するお子さまがいるご家庭では、受験費用や入学費用の捻出に苦労されたケースも多いでしょう。手持ちの資金では足りずに、予定していなかったローンに頼ったご家庭があるかもしれません。



受験料の負担で資金不足に陥る家庭も少なくない

さて、今回取り上げるのは、大学の入学費用の準備計画。高校3年生になると、塾に通っているご家庭では、月額の塾代が高くなるだけではなく、夏期講習や冬期講習、直前講習などの費用も数万円単位で上乗せされます。
加えて、毎月のように模擬試験を受けるのが一般的。模擬試験代は、1回ごとの費用は3,000円から6,000円程度ですが、毎月、あるいは月に数回の受験になると、家計に響きますし、合計額もかさみます。
塾代や模擬試験代などの支払いに追われていると、センター試験の受験料を払い込むころには、やりくりの感覚がマヒしてしまうかたも出てきます。受験が目の前に迫ってくると、合否のほうに気が取られ、お金の問題を優先した受験計画は立てづらくなります。
そのようなこともあって、大学の受験費用や入学費用の支払い計画は、夏までに立てておくのがおすすめ。推薦入試を利用するのか、一般入試でがんばるのかによっても、受験料はかなり変わるものの、私立中心で一般入試を利用する場合、受験費用は30~50万円くらいかかるご家庭が多くなります。入学金より高額の受験料を払うケースも珍しくありませんから、無事に合格の声を聞いた時には、手持ち資金が不足して焦るご家庭も出てくるのです。



入学時の費用が足りるかを見積もり、申し込みも早めに

手持ちの貯蓄では入学費用を払えないとしても、入学後でないと受け取れない奨学金に頼ることもできません。そこで、教育ローンの利用を検討する人が多くなるわけですが、教育ローンは審査に数日はかかるため、合格発表があってから申し込んだのでは、入学費用の支払いに間に合わない可能性があります。教育ローンの利用を検討している場合は、どこで、いくらくらい借りるのかを見積もったうえで、金利などの条件を比較することが欠かせません。
ちなみに教育ローンは、金融機関の多くが扱っており、中でも日本政策金融公庫が扱う「国の教育ローン」が有名です。国の教育ローンでは、最高350万円までの金額を、固定金利(2015<平成27>年3月現在は2.25%)で貸してくれます。返済期間は最長15年。在学中は利息だけの返済もOKです。
ただし、申し込んでから資金が受け取れるまでに、最短でも2週間はかかります。進学先が決まっていない段階でも申し込みは可能なので、早めの申し込みがおすすめ。申し込んだあとにキャンセルもできますので、入学費用が不足しそうなご家庭は、早めに資料を取り寄せておきましょう。



入学時特別増額貸与奨学金を原資につなぎ融資が受けられる

国の教育ローンを借りたいけれど、所得制限にひっかかるなどで、借り入れができないご家庭もあります。そのようなケースでは、日本学生支援機構の「入学時特別増額貸与奨学金」を利用することを条件に、労働金庫(ろうきん)から「つなぎ融資(入学時必要資金融資)」を受けられます。つなぎ融資とは、入学時特別増額貸与奨学金が入金されるまでの間、必要な資金を増額奨学金の範囲内で貸してくれる融資制度。ろうきんのつなぎ融資で借りる資金は、借りた人の名義で学校に直接振り込まれ、入学時特別増額貸与奨学金が受け取れる日までの利息がかかります。

今回は入学費用が不足した場合に備えて、国の教育ローンや入学時必要資金融資をご紹介しました。どちらも大学進学時の心強い存在ではありますが、「返済の義務のある借金」に変わりはありません。借金せずに入学費用などを払えるのが理想とはいえ、現実的に資金が足りなくなりそうなご家庭では、「早めの申し込み」で、「少な目に借りる」ことを心がけてほしいと思います。
ギリギリになって慌てると、「多めの金額」を借りたくなるもの。そこで時間に余裕がある夏までの間に、きちんと受験費用や入学費用を見積もりましょう。無理のない借り入れを実現するためには、時間をかけて調達方法を検討するのが望ましいでしょう。


プロフィール


畠中雅子

大学時代よりフリーライター活動をはじめ、マネーライターを経て、1992年にファイナンシャルプランナーになる。新聞・雑誌などに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などを行う。著書は、「ラクに楽しくお金を貯めている私の『貯金簿』」(ぱる出版)ほか、70冊を超える。

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