学校では今 【第6回】「1年生になったら」~小学校入学時に保護者が心がけたい「3つ」のこと-小泉和義-

桜の咲く季節になりました。世の中全体が、新しい生活のスタートにワクワクする時期でもありますね。この4月から、新小1、中1、高1生を持つ保護者の皆さんは、子どもに新しい環境で成長してほしいという期待と同時に、上手くやっていけるだろうかという不安をお持ちのことと思います。今回は、「新小学1年生」に焦点をあてて、環境の変化によるいろいろな問題と、その解決策についてお話ししたいと思います。

まずは、下の図を見てください。「人に自分の気持ちを伝えたり、相手の意見を聞いたりすることができる」が、小学校入学を機に減少します。要因はひとつではないはずですが、環境の変化が影響している可能性は高いと思います。一体、保育園や幼稚園と小学校では、何が違うのでしょうか。ここでは、違いを3つにまとめてみました。


【図】人に自分の気持ちを伝えたり、相手の意見を聞いたりすることができる



※出典/Benesse次世代育成研究所「幼児期から小学1年生の家庭教育調査(外部のPDFにリンク)」(2012)

第一に「時間の使い方」が変わります。幼稚園・保育園では「午前中の活動」「昼食」「午後の活動」「おやつ」「午後の活動」というように、時間を大くくりにとらえ、そのなかで自由度の高い内容を柔軟に取り入れた活動が中心でした。ところが小学生になると、朝のホームルームから始まり、その後は45分の授業が短い休み時間をはさんで規則正しく進んでいきます。
たとえば、絵を描くのは「図工の時間」と決まっています。そして、チャイムがなったら、途中でも一旦活動を中止しなければなりません。小学校では1年生の初めの授業を15分単位にしてそれを組み合わせたり、教室の国語や算数など集中力が必要な教科を1時間目に配置するなど、工夫をしていますが、まだまだ改善の余地はあると思います。

第二に、活動の中心が「遊び」から「勉強」へと変わります。小学校に入ると、国が定めた「学習指導要領」にもとづいた教科書が配られ、教科書の内容を授業で学ばなければなりませんし、学力の評価も加わります。
小学校では、机を全部教室の後ろに移動して、椅子で円を描いて授業をしたり、子どもたちを床に座らせて授業を行ったりするなど、幼稚園や保育園での活動スタイルを取り入れながら、除々に小学校の学習スタイルに移行していくなどの工夫も見られます。

第三に、自分自身でしなければならないことが増えます。たとえば、幼稚園や保育園へは保護者が送り迎えをしていたのに、小学校では、登下校には保護者はついていきません。教室には自分の机やロッカーがあり、その周りの整理や片付けは、自分でします。読み聞かせの時間も減り、「自分で読む」ことが増えます。小学校では、登校班をつくって、近所の小学生同士で集まってグループで登下校をする学校が多くあります。6年生が1年生のパートナーになり生活や勉強の面倒を見るなど、いろいろな工夫をしているようです。



家庭で心がけたい3つのこと

このように学校では、さまざまな工夫をしながら1年生を迎え入れる準備を行っているわけですが、それに対し、家庭ではどのようなことを心がけていけばよいのでしょうか?
いろいろとやらなくてはならないと不安に思われるかもしれませんが、わたしは3つのポイントさえ押さえれば十分だと思います。

第一に、子ども自身が「できない」と思わないように、家では子どもに「自信を持たせる」ことです。「自信を持たせる」には、小さな目標をつくってそれを達成する経験を積むことが必要です。家でのお手伝いを「玄関掃除はあなたの仕事だよ」というように、子ども自身に責任のある「役割」として自覚させると、それができたときに、自分の成果として達成感を感じやすいのではないでしょうか。そして、子どもが仕事をやり終えたときには大げさにほめてあげると良いと思います。

第二に、片付けの習慣をつけることです。小学校では、決まった時間の中で活動をすることが増えますので、自分をコントロールする力を身につける必要があります。小学1年生で勉強ができない原因は、勉強の内容がわからないのではなく、落としてしまった鉛筆を拾おうとしている間に説明を聞き逃したり、何色の鉛筆を使おうか迷っている間に時間が過ぎてしまうなど、自分の時間のコントロールができていないことも要因として大きいようです。たとえば、使ったものをきちんと元の位置に戻すことを、子どもと一緒にしてみるのもよいかもしれません。片付けは、行動に見通しをつけたり、次に使いやすいように工夫したりするなど、自分の行動を調整する力の育成につながっているのです。

第三に、「勉強」を楽しい日常生活の一部にしていくことです。小学生になって、すぐに教科書とノートを開いて勉強するようにはなりません。ある学校で伺った話ですが、たとえば、毎日夜におじいちゃんに電話をして、今日一日で一番楽しかったことを話す習慣をつけたりすると、ことばの力がついていくようです。また、たとえば、どんぐりをたくさん集めるだけでは数を数えないけれど、首かざりをつくるために穴をあけようとすると数を数えるようになっていくのだそうです。日常生活の中で、学びにつながるいろいろな仕掛けができると良いのではないでしょうか。

入学の時期は、1年生になった我が子に「一段と成長してほしい」と期待がふくらむ時期です。そして、子どもの成長を支えているのは、日常のちょっとした工夫の積み重ねだと思います。


プロフィール

小泉和義

小泉和義

ベネッセ教育総合研究所 主任研究員。全国の小学校、中学校、高等学校などの現場を取材し、子どもたちの実態や学校での指導課題を踏まえ、「今」と「これから」の教育に必要なことは何かを発信し続けている。

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