ついにフリースクールが公認? 専門家が解説
不登校児童・生徒の受け皿となっているフリースクール。これまで学校の外にある存在だったフリースクールが、一定の条件下で<公認>される可能性が出てきた。教育ジャーナリストの渡辺敦司氏が解説する。
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文科省「フリースクール等に関する検討会議」の委員には、教育関係者や有識者だけでなく、フリースクールの関係者も多数入っています。会議の発足に先立ってフリースクールについてもフォーラムを開催したのも(昨年11月)、不登校全般の検討と同じ流れです。
第1回会合で文科省が示した「主な論点例」によると、現状の問題点として「制度上の位置付け」「学習面及び経済面での課題」が挙げられていることが注目されます。フリースクールはあくまで私塾の扱いであり、フリースクールで学んだからといって即、就学の代わりとなるわけではありません。各地にフリースクールができ始めた1980年代は、不登校がまだ「登校拒否」(学校嫌い)と見られていた時期で、教育関係者には「無理をして学校に行かなくてもよい」と説くフリースクールを学校に敵対する存在のようにとらえていた向きも少なくありませんでした。
しかし1992(平成4)年の「学校不適応対策調査研究協力者会議」報告を受けて、公的施設だけでなくフリースクールに通った場合でも、校長が認めれば、在籍する学校の出席扱いにできることになりました。その場合に通学定期券が利用できるようになったのは、小・中学校は1993(同5)年からでしたが、義務教育ではない高校に関しては不登校の存在そのものの認識が遅れていたこともあって、ようやく2009(同21)年からでした。
しかしこれも、あくまで校長が認めた場合であり、「学校の出席」扱いという原則は崩していません。とりわけ義務教育は、子どもを学校に就学させる義務が保護者にあるからです。ここでいう「学校」にフリースクールが入らないことは、言うまでもありません。今後、自宅学習(ホームスクール)も含め、どういう条件を満たせば就学義務を果たしたことにするのかが、検討会議での大きな論点になってくることでしょう。
出典:フリースクールを公認へ? 文科省が検討 -ベネッセ教育情報サイト