食物アレルギー対策で指針 保護者対応も示す-斎藤剛史-

保護者にとって子どものアレルギーは深刻な問題の一つです。特に食物アレルギーは生命に関わる可能性もあり、学校給食などでの事故も心配されます。このため文部科学省は、学校や給食調理場などで食物アレルギーへの対応マニュアルを作成する際の基本的考え方や、留意事項などを示した対応指針を作成しました。指針には保護者との対応なども示されています。保護者にとっては、学校がどんな対応を取るべきなのか知ることで、学校との話し合いや連携に役立つかもしれません。

食物アレルギーでは、2012(平成24)年に東京都調布市の小学校で、給食を食べた女児が死亡するという事故が起こりました。事故を受けて文科省が2013(平成25)年に実施した調査によると、公立小中高校の児童生徒のうち4.5%、約45万人に食物アレルギーがあることがわかりました。各学校や給食調理場では食物アレルギーへの対応指針や対応マニュアルを策定することになっており、文科省は学校などでのマニュアル策定を促進するために対応指針をまとめたのです。このうち、保護者にも関係の深いのは各学校における保護者対応の内容やポイントを説明した部分でしょう。

まず学校では、校長を責任者とする「食物アレルギー対応委員会」を組織し、保護者と面談して給食の取り組みプランを決定するほか、保護者に献立や食材の情報、緊急時の対応方法などを事前に周知しておくこととしています。具体的流れとしては、入学時や進級時の健康診断、保護者会などで食物アレルギーへの対応内容などを保護者に説明したうえで、「アレルギー調査票」を配布してアレルギーの有無と対応希望を把握し、対応希望者には必ず「学校生活管理指導表」を提出してもらいます。次に個別面談を必ず行い、必要な事項を聞いたうえで、給食調理場の実態に考慮しながら個別の取り組みプランを作成し、保護者の了解を得るということになっています。さらに対応指針は、定期的に保護者と面談して課題や問題点の改善を図るよう話し合うとしています。

このほか、食物アレルギーのある児童生徒だけでなく、その子が在籍する学級での指導を行い、子どもたちに食物アレルギーについて理解させるほか、給食の配膳、おかわり、片付けなどでの事故が起きないようルールの徹底を図ることも求めています。

対応指針には給食調理場での作業など保護者と直接関係ない事項もありますが、学校が取るべき対応の基本的事項はどんなものか、食物アレルギーの具体的対応として学校や給食調理場にどんなことが求められているのかなどを知ることは、保護者にとっても有益でしょう。

食物アレルギーの対応では、給食調理場の施設や人員などの関係で地域や学校によってできることとできないことがありますが、最も重要なことは学校と保護者が円滑に連携していくことです。そのためにも食物アレルギーに対する学校や給食調理場の対応などに関する基礎的知識を持つことは、保護者にとっても大切なことだといえるでしょう。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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