子どもが頻繁に腹痛やめまいを訴えていたら【症状と原因編】

特に思い当たることがないのに、子どもが頻繁に腹痛やめまいを訴える病気に「腹部片頭痛」「小児良性発作性めまい」があります。これらは、以前本コーナーでご紹介した「自家中毒(周期性嘔吐<おうと>症)」の仲間として、近年注目されるようになっています。今回は、「腹部片頭痛」「小児良性発作性めまい」について、ひきた小児科クリニック副院長の疋田敏之先生に教えていただきます。



子どもが頻繁に腹痛やめまいを訴えていたら【症状と原因編】


「腹部片頭痛」と「小児良性発作性めまい」ってどんな病気?

子どもが突然、頻繁に同じ症状を訴える病気の中でも、腹痛を繰り返す病気を「腹部片頭痛」、めまいを繰り返す病気を「小児良性発作性めまい」と言います。これらは、「周期性嘔吐症」と合わせて「片頭痛に関連する周期性症候群」に分類されています。
この3つの病気は、おなかや頭などそれぞれ症状が出る場所は違いますが、同じ発作を繰り返す、突然始まり突然終わる、大人になって片頭痛になるケースが多いなどの共通点を持っています。
腹部片頭痛と小児良性発作性めまいは、それぞれ以下のような特徴を持っています。


◆腹部片頭痛
(1)腹部の中央あたりに、生活に困るくらいの強い痛みを訴える。
(2)腹痛とともに、食欲不振・悪心・嘔吐・顔面蒼白(そうはく)のうちの2つの症状が出る。
(3)1と2の症状が、1時間~72時間続く。
(4)発症年齢は、3歳~15歳。
(5)男の子に多く見られる。


◆小児良性発作性めまい
(1)前触れもなく、数分~数時間ぐるぐる目が回るようなめまいが起こり、自然に快復する。
(2)神経・聴力・平衡機能に異常が見られない。
(3)脳波に異常が見られない。
(4)発症年齢は、2~4歳。
(5)女の子に多く見られる。


それぞれの発症の原因については、周期性嘔吐症と同じく、ピアノの発表会前に緊張するなどの嫌なストレスや、遠足前に興奮するなどの楽しさからくるストレスも考えられますが、まだはっきりとしたことはわかっていません。



普通の腹痛やめまいとの違いって何?

子どもが腹痛を訴えた場合、よく便秘や過敏性腸炎などを疑ったりします。これらの病気との違いは、腹部片頭痛の場合は長時間続くとても強い腹痛を繰り返し、発作のない時は普段の元気な状態に戻る点です。小児良性発作性めまいの場合は、難聴や耳鳴りがないという点が、メニエール病などよくあるめまいのある病気との大きな違いです。
現在、周期性嘔吐症は広く知られているため、多くのかたが病院で診断を受けしかるべき処置を受けています。でもほかの2つについては、国内での認知度が低く、病院に行っても原因不明と診断されるケースが多く見られるのが現状です。
これら3つの病気は、基本的に治ります。きちんとした診断や説明を受け、悪い病気ではないことを理解すると、それだけで安心して症状が軽くなったり消失したりすることがあります。不安のままで過ごさず、改めて子どもの症状を見直して、正しい対応法を行うことをおすすめします。


プロフィール


疋田敏之

帝京大学医学部卒業。帝京大学病院小児科病棟医長などを経て、2008(平成20)年よりひきた小児科クリニック副院長。現在、帝京大学医学部小児科非常勤助手も務める。小児科専門医、小児神経専門医、頭痛専門医。

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