うどんのゆで汁、休耕田、生ごみ…この三つの共通点は?

環境問題から注目されている次世代の代替燃料開発競争。バイオ燃料技術もその一つです。日本で開発が進んでいるものの中には特徴的なラインナップがちらほら。そうです。うどんのゆで汁、休耕田、生ごみの共通点は「バイオ燃料」!今回は、そのバイオ燃料についてお話しします。そこには”もったいない”精神が宿っているかのようです。

うどんのゆで汁を使ったバイオ燃料

 なんと、うどんのゆで汁を使ったバイオ燃料があるということをご存じですか?うどんは製麺時に大量の水を必要とするので、たくさんの排水が発生してしまいます。そのまま廃棄したらアオコやヘドロを作って悪臭を放ってしまうし、大量にあるものを捨ててしまうだけ。それはなんて、“もったいない”ことでしょう。

 そこで、排水中に含まれるでんぷんを沈殿物として取り出して、燃料として使えるエタノールを生成するという研究が進んでいるのです。エタノールは、消毒に使う薬品というイメージがあるかもしれませんが、近年日本では、石油のかわりに自動車用燃料としてエタノールを使用する開発に注目が集まっています。近い将来、製麺工場がエネルギー供給ステーションになるかもしれませんね。

 

 

休耕田を利用してバイオ燃料用の稲を生産

 休耕田を利用してバイオ燃料用の稲を生産し、酒の発酵技術を利用したエタノールの抽出や、もみ殻から圧縮固形燃料を作る技術が開発されています。米を発酵させれば純米酒がつくれるように、稲からはアルコールの一種であるエタノールをつくりだせるのです。米の産地として有名な新潟県の農業組合が製造を行っており、ガソリンにエタノールを混ぜたグリーンガソリンをすでに販売しています。さらに、バイオエタノールを製造するときに出る、米を発酵させた液体は栄養価が高く、おいしい豚を育てるためのエサとして利用されています。「せっかく田んぼがあるのに、使わないなんて”もったいない”!」…そんな声が聞こえてきそうですね。

 

 

ごみはごみのままでは終わらない

 生ごみまでもバイオ燃料に活用されています。日本で出る生ごみの総量は年間1900万トンで、うち再生利用されているのは500万トンです。約75%も廃棄してしまっているのが現状…それは”もったいない”! そんな生ごみからバイオ燃料のもととなる固体発酵原料を作り、原料内に含まれる糖質を固体のまま発酵させることによって、エタノールへ変換することができるんだとか。自治体の生ごみ処理場からエネルギーが作られる日が来るかもしれません。ごみをごみのままで終わらせない…ここでも”もったいない”精神が表れているように思えますね。

 

 暮らしのそこかしこにある”もったいない”。その中にバイオ燃料の種は潜んでいます。一つひとつ集めていけば、エネルギー問題に明るい光がさすかもしれません。

 

 

参考:

『大学発!美味しいバイオ うどんのゆで汁で2,3度美味しい:ゆで汁からのバイオエタノール生産と水資源リサイクル』渡邊昌規 生物工学会誌 第87巻
 

『源循環型社会創造への挑戦 食品廃棄物のエタノール固体発酵法の開発』鈴木 昌治 実学ジャーナル2005年4月号
 

イネ原料バイオエタノール地域協議会/「バイオ燃料地域利用モデル実証事業」の取組み(http://www.ine-ethanol.com/)


子育て・教育Q&A