理科好きの子どもに育てるには【前編】理科好きの共通点とは

近年、子どもの理科嫌いが問題になっています。子どもを理科好きに育てるにはどうしたらよいでしょうか。2児の母親であり、筑波大学生物学類のサイエンスコミュニケーターとして、未来の科学者を育成するプロジェクトに関わる尾嶋好美さんに伺いました。



理科好きに共通しているのは「なぜ」

私が所属する筑波大学では、「未来の科学者」を目指す小・中・高校生の自主研究を、大学教員と大学院生が個人的に研究指導・支援する「SSリーグ」という取り組みを行っています。

SSリーグに所属する子どもに共通しているのは、センス・オブ・ワンダー、つまり身近な出来事に「不思議だな」と思える感性を持っていることです。たとえば、「どうして空は青いのか」「どうしてアリは連なって歩くのか」といったことです。小さな子どもは、こうした疑問を毎日のように抱いていると思います。そうした「なぜ」を中学生や高校生になっても持ち続け、追究し続けることができるのが、理科好きの子どもに共通している点だと感じています。

では、小さなころは誰もが「なぜ」「どうして」という気持ちを持っているのに、理科離れが問題となっているのはなぜでしょうか。私は、理科好きの子どもたちが減っているのではなく、学校で勉強する教科としての「理科」をつまらないと思う子どもが多いのではないかと考えています。おそらく教科として勉強する「理科」が、日常生活と離れてしまっているように感じるからではないでしょうか。

もう一つの理由として考えられるのは、理科はほかの教科のように勉強した成果が目に見えて実感しにくいことが挙げられます。英語は英単語を覚えれば、さまざまな英文を読んだり、英作文が書けたりするため、勉強の成果が見えやすい教科だと思います。しかし、理科に必要な科学的思考力は、すぐには身に付きません。正確な知識・情報に基づき、仮説を立て、検証するといった地道な努力を経て初めて身に付きます。今は、インターネットで検索すれば「何でも答えが出てくる」時代になっています。子どももわたしたち保護者も、すぐに結論を求めてしまう風潮があると思います。そうした社会においては、自ら考え、答えを導きだす過程が少し面倒に感じられてしまうのではないでしょうか。その過程を楽しむことができれば、きっと理科の面白さに気付いてもらえるはずです。

では、子どもに理科に興味を持ってもらうにはどうしたらよいでしょうか。私も小学生の子どもが2人いますので、まさに試行錯誤中です。いくつか効果的かもしれないと思えることをご紹介します。参考にしていただければ幸いです。



子どもに「理科」に興味を持ってもらうには……
◆子どもの「なぜだろう?」に耳を傾ける
息子は小さなころ、「なぜ」「なぜ」を毎日のように連発していました。その際、どんなに忙しくても彼の発言を無視したり、途中でやめさせたりはしないようにしていました。私が理系出身だったということもあるので、正解をすぐ言うのではなく、できるだけその「なぜ」を解明するための実験や観察を一緒に行うようにしました。

◆子どもの興味を広げるサポートをする
読書が好きな子の多くは、一冊の良書との出会いがきっかけだったという話をよく聞きます。理科が好きな子も同様に、小さなころに虫や星、ロボットなどに興味を持ったことがきっかけで、研究にのめりこんでいったという子が多いようです。お子さまが何か興味を持ったときに、その興味を広げるようなサポートをしてあげてほしいと思います。私の息子は、保育園児のころから虫が大好きでしたので、昆虫図鑑を購入しました。家でアリの絵を描いていたら、「足の数は何本かな? 体はいくつに分かれているかな? よく図鑑を見てごらん」とリアルに描くように誘導していました(笑)。図鑑を見れば、「アリ」や「カマキリ」にもさまざまな種類がいることがわかり、視点が広がります。そうすると興味はどんどん広がっていくはずです。

◆理科に関するテレビ番組を視聴する
テレビは理科が苦手な子どもの興味を広げるのにぴったりだと思います。「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」「MIT白熱教室(物理)」「大科学実験」「すイエんサー」(NHK)、「所さんの目がテン!」(日本テレビ)などがおすすめですよ。理科がニガテな保護者も一緒に楽しめるはずです。

次回は、子ども×保護者のタイプ別サポート法を尾嶋さんに伺います。


プロフィール

尾嶋好美

尾嶋好美

筑波大学生物学類サイエンスコミュニケーター。筑波大学次世代科学者育成プログラム・SSリーグ、筑波大学サイエンスコミュニケーショングループSCOUTなどの運営に関わっている。著書『家族で楽しむおもしろ科学実験』(ソフトバンククリエイティブ)等。

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