見たことある? 日本三大桜の美しさは圧巻!
春になると1本の木に無数の花を咲かせる美しい桜は、白、紅色、薄いピンク、濃いピンクなど、種類ごとに色もさまざまです。ここでは桜の原種と、日本三大桜についてお伝えします。
昔から日本人に愛されてきた「桜」の原種とは?
桜の原種は約10種類とされていますが、その原種が交配し、今では100種類以上が野生化しています。このような野生種の中で、最も代表的なものを「山桜」といいます。山桜は花と葉が同時に開くことが特徴で、花は薄いピンク色。昔のお花見とは、この山桜を見ることを指していました。奈良県の吉野山が、現在でも山桜の観光名所として有名です。
また、この山桜をもとに、さらに人の手で交配して作られた栽培品種を「里桜」といい、現代では300種類以上にものぼります。
一度は見に行ってみたい「日本三大桜」の美しさ
日本には、ひときわ美しいとされる「日本三大桜」というものがあります。福島県三春町の「三春滝桜(みはるたきざくら)」、岐阜県根尾板所(いたしょ)の「淡墨桜(うすずみざくら)」、山梨県武川町の「神代桜(じんだいざくら)」の三つで、いずれも国の天然記念物に指定されている、由緒ある立派な桜です。
福島県の三春滝桜は、推定樹齢1000年以上とされるベニシダレザクラで、樹高12メートルもの高さから滝のように大きく枝を垂らすことで、この名前がつきました。なんと枝の広がりは東西に25メートル、南北に20メートルにも及びます。
開花時期は毎年4月15日前後で、近隣だけでなく東京方面からもたくさんの人々が駆けつけます。すり鉢状の底にあたる位置に大きくそびえ立っている桜なので、四方からその姿を眺めることができますよ。
岐阜県の淡墨桜は、散り際に淡い墨を引いたような色になることから名づけられたもの。樹齢1500年あまりのこのエドヒガンザクラの老木大樹は、過去数回にわたる枯死の危機を乗り越えてきました。大正4年には大雪で周囲4メートルの枝が折れ、幹にも亀裂が入りました。また昭和34年の台風でも太い枝が折れ、昭和42年に作家の宇野千代が訪れたときには、老残の身をさらした状態だったそうです。これを残念に思った宇野千代は、あちこちに建白書を送って枯死から救っただけでなく、『淡墨の桜』として作品化も行いました。このエピソードをきっかけに淡墨桜は有名となり、今では年間20万人という人が押し寄せています。
山梨県の神代桜も、推定樹齢1800~2000年といわれる、日本で最古のエドヒガンザクラの巨木です。樹高は10.3メートル、幹の周りは約11メートルもあり、南アルプスの雪山を背景にした姿は見事というしかありません。桜の見頃には、全国からたくさんの人が花見に訪れます。
近くに立ち寄った際には、ぜひ見に行ってみたいものですね。
参考:井筒清次『おもしろくてためになる桜の雑学事典』(日本実業出版社)