なだめても、叱っても、抵抗されて...言うことを聞かない子どもに保護者ができることは?

  • 育児・子育て

イヤイヤ期が始まる2~3歳のお子さまや、大人の言うことを理解しコミュニケーションがとれるようになってくる4~5歳のお子さまをお持ちの保護者の方は、子どもが言うことを聞いてくれないことが増えたと、悩むことがありませんか?
「そろそろおもちゃを片付けよう」と声をかけても聞こえないふりをしたり、「出かけるから着がえて」と何度お願いしても、「イヤ」と動いてくれなかったり…。どんどんコミュニケーションができるようになっているはずなのに、子どもが言うことを聞いてくれなくなるのはなぜでしょうか。言うことを聞いてくれない子どもに保護者はどうするべきなのか、ご紹介します。

この記事のポイント

子どもが言うことを聞いてくれなくなる原因

子どものわがままは多少であれば可愛いですが、毎日となると疲れてしまいますよね。
どうして子どもは親の言うことを聞かず、抵抗するのでしょうか。

2歳~3歳…「イヤイヤ期」とも言われます。2歳になると自我が芽生え始め、ある程度言葉も覚えて話せるようになるので、自分の感情を言葉で表現しようとします。
しかし、感情や気持ちを的確に伝えられるほど言語能力が発達していないため、大人のようには自分の気持ちを上手に伝えられません。そのため、お子さまは自己主張をしているのに保護者は反抗だと思い、お子さまは自分の考えを受け入れてもらえない場合があります。
そういった、保護者に分かってもらえない悔しさや、うまく言えないもどかしさがイライラに変わり、何に対しても拒否したり抵抗したりするのです。

4歳~5歳…大人とコミュニケーションが十分できるようになることで、大人の言っていることも理解しやすくなります。しかし、その反面自己主張もぐっと増えてくる時期。特に、大人の言うことに理不尽さを感じると、まったく言うことを聞かないお子さまに早がわりすることもあり、保護者も「しまった」と思う場面があるのではないでしょうか。

注意したい保護者の言動

・お子さまにして欲しくないことを保護者がしていないか

お子さまが保護者の話を聞かないのは反抗期であるということだけが理由ではなく、保護者の接し方が原因になっている場合があります。普段、話を聞いて欲しいと言って寄ってくるお子さまときちんと向き合えていますか?家事をしながら「あとでね」と返事をするだけだったり、視線を合わせず適当に相槌を打っていたりといった保護者の態度を、お子さまはきちんと見ています。お子さまが保護者の言うことを聞かないのは、普段の態度の裏返しでもあるのです。

・理由も聞かず頭ごなしに叱りつけない

お子さまがすることすべてに、否定的な反応をしていませんか?大人は経験して知っていることでも、お子さまはまだ知りません。「~しちゃだめでしょ!」「なんでそんなことするの!」と、することすべてを頭ごなしに否定していると、お子さまは安心して過ごすことができず、「何をやっても叱られる」と失望してしまい、さらに言うことを聞かなくなってしまうのです。

・言い聞かせは真剣に

家事をしながらだったり、下のきょうだいのお世話をしながらだったり、「ながら」で言い聞かせをしていませんか?お子さまは保護者の表情や態度を観察し、きちんと読み取りができています。しっかり聞いて欲しい話こそ、お子さまと視線を合わせて向かい合い、真剣な表情や声のトーンで話しましょう。

・環境を整えてあげることも大事

お子さまに何かをさせようとするときに、一方的に命令したり長々と要求を伝えたりしていませんか?お子さまは長時間集中して話を聞くことができません。ましてや、おもちゃやテレビなど周りに気になるものがある場所で、大人の話に集中するのはとても難しいことです。何かを言い聞かせるときは、分かりやすく端的に伝えるというだけでなく、集中して聞ける環境を整えてあげましょう。

・大人の都合で言い聞かせない

大人の都合で言い聞かせてばかりいると、お子さまが納得して動くことができません。
「仕事に行かなくてはいけないから」と大人の都合でせかしたり、「早く片付けてしまいたいから」という理由で、「早く食べて!」とせかしたりしていませんか?
お子さまにも自分のペースがあります。「今は遊びたいからもうちょっと待って」とお子さまが主張をしても「ダメ」と怒るのに、「ねえ、見て!」「一緒に遊ぼう!」と誘われても「今忙しいからちょっと待って」と都合よくかわしていては、お子さまも納得できず理不尽な思いをして、ますます言うことを聞きたくなくなるのです。

・毎回、保護者の言うことが変わる

保護者の気分によって、お子さまに言い聞かせる言葉や態度が変わっていませんか?
「昨日は怒られなかったのに、今日同じことをしたら怒られた」というようなことが続くと、お子さまは戸惑ってしまいます。言い聞かせる言葉や態度が一貫していなければ、理不尽な思いになり反抗したくなるのです。それは、保護者の言葉や行動にも共通しているので、しつけとしての言い聞かせ方や態度を保護者の間で共有し、違いがないようにすることが大切です。

言うことを聞かないお子さまへの対処法

・気持ちを代弁してあげる

まだ十分に言葉が発達していないお子さまには、「~したかったよね」「そうだよね」と代弁してあげることで、気持ちを分かり受け止めていることを示してあげましょう。信頼できる存在の保護者が分かってくれていると思えることで、素直に聞こうという態度になれるのです。また、代弁してあげることは、お子さまの言語能力の発達にもつながります。

・お子さまの拒否をいったん受け入れて、拒否する理由を聞く

お子さまが「イヤ!」と拒否する場合は、「言うこと聞きなさい!」と怒るのではなく、いったん受け入れたうえで、なぜイヤなのか拒否する理由を聞いてみましょう。
お子さまが何を考えているかを知り、その気持ちに寄り添うことで、どうしたら聞き入れてくれるのか解決策が見つかることがあります。

・時間が許す限り付き合う

「大好きな電車をまだ見ていたい」「まだ公園で遊びたい」というお子さまの気持ちには、時間の許す限り付き合ってあげましょう。お子さまの中で気持ちが満足し、保護者が自分を見守り付き合ってくれたと安心することで、保護者の話も素直に聞いてくれるようになります。

・癇癪(かんしゃく)を起こしたときは、危険がない限り落ち着くまで見守る

お子さまが癇癪(かんしゃく)を起こしてしまったときは、周りに危険がない限り落ち着くまで一旦見守りましょう。お子さまも、意地になってしまい自分で止められなくなることがあります。「落ち着いたらお話ししようか」「ここで待っているからね」と伝え、見守っている姿勢を示して安心させてあげましょう。落ち着いたら「どうしたかったの?」と聞いてあげ、話ができたことを褒めてあげてください。

・毅然とした態度で一貫した対応をとる

お子さまに言い聞かせをする場所は、家で過ごすときだけではありません。スーパーや駅など周りに人がたくさんいる場面で、言い聞かせが必要になることもあります。同じことをしているのに、場所によって対応を変えないようにしましょう。また、叱ったことでお子さまの表情がひきつりこわばったからといって、「ごめんね、さっきはちょっと言い過ぎたね」と態度を変えたり叱った内容を撤回したりせず、毅然とした態度と一貫した対応をとることが大切です。

お子さまの気持ちやこだわりと向き合おう

「こんなに言うことを聞いてくれないのは、うちの子どもだけ?」と悩む方も多いでしょう。しかし、お子さまは一人の人間として、大人と同じようにこだわりや自分の主張を持っているのです。大人にとっては些細なことでも、お子さまにとっては大切なことだったり、夢中になれることだったりします。そのような気持ちやこだわりと、何度もしっかりと向き合っていくことで、保護者自身も成長しながら適切な言い聞かせや声かけができるようになっていくでしょう。

プロフィール



保育士として15年以上にわたり、福祉施設、託児所、保育園などさまざまな場面での保育業務に携わる。
食育実践プランナー資格も有している。

  • 育児・子育て

子育て・教育Q&A