子どもにこづかいを渡すほうが、進学資金は貯めやすい
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高校生の保護者から、娘の大学進学費用について相談がありました。就職か、せいぜい2年間の専門学校への進学を思い描いていたという保護者は、娘の大学進学希望に戸惑ったそうです。進学費用をため始めたが、なかなか増えないので、奨学金や教育ローンを紹介してほしいというご要望でした。
貸与型奨学金は、1万円でも利用額を減らすこと
子どもが高校生になってから初めて大学進学を意識し、貯蓄をスタートさせるのでは、ためる時間はほとんどないと言えるでしょう。
つい、奨学金や教育ローンに目が向くのも、無理はありません。
けれど、無利子の奨学金であっても将来の返済はそれなりに重いのに、有利子の奨学金と教育ローンでは、さらに重荷は増します。
日本学生支援機構の奨学金を月額3万円、4年間借りた場合の無利子と有利子の返済額の差は次のとおり。

月に「たった」3万円を借りただけでも、4年間の貸与合計は144万円。金利が上限の3%の場合の利息総額は約32万円で、約176万円を返済することになります。
2014(平成26)年度は、5万円を選択した学生が多かったとか。月あたり貸与額が2万円多くなると、上記と同じ条件での利息は約62万円で総返済額は約302万円。3万円コースに比べて利息は30万円の増加です。
借りる金額が多くなると、払う利息も多くなることがわかります。
将来の返済額を増やさないためにも、借りる金額は、本当に必要とする金額にとどめましょう。安心のために多めに借りることは、避けてください。
家計は、貯蓄が可能な方向で見直す
奨学金や教育ローンで借りる金額を減らすためには、学費を払う時期までに、少しでも貯蓄を増やすことです。増やした分だけ、借りる金額を減らすことができます。
相談の保護者も、娘の大学進学希望を知った時から家計を見直し、何とか貯蓄をしようとがんばってきたそうですが、どうしても増えないのだそうです。
家計簿はつけていないということでしたが、収入と支出について伺ったところ、娘のこづかいをゼロにしていることがわかりました。
ところで、同席していた娘は薄く化粧をし、髪にも手をかけている様子。サロンでしてもらったと思われるネイルも輝いていました。こづかいがゼロだと、友達と遊んだりすることはできないのでは?と問うと、「必要なもの」は親が出してくれるという返事。
ネイルは「必要なもの」という意識は新鮮でしたが、感心しているわけにはいきません。
つまり、娘が自由に使えるお金を月決めで渡してはいないけれど、美容院もネイル代も、学校帰りにコンビニで買う飲み物代も、家計費から出してやっていたのです。これでは、こづかいをゼロにしているとは言えません。
こづかいは、子どもの生活費です。子どもにも友人とのつきあいがあり、オシャレにかけるお金も必要です。いくらかは、自身の生活をまかなうお金を出してやりましょう。
まず、「いつまでにいくらためる」という目標を立て、毎月の貯蓄額を割り出します。これは、「必要なもの」に該当します。収入の中から、まず貯蓄をし、残りの金額の範囲で、食費や光熱費などの基本生活費や家族それぞれのこづかい額を割り振ります。
娘のこづかいで何をまかなわせるのかを決め、ネイル代などを親が負担しないようにします。「欲しいもの」は、こづかいの中でやりくりさせるのです。月のこづかいが5,000円でネイルサロンが1回6,000円なら、毎月通うことはできません。6か月で5回ということになります。
相談者の今の優先事項は、将来の借金を増やさないこと。娘に日々の「欲しいもの」を与えるのではなく、ある程度のこづかいを渡すにとどめ、それ以上は払わないようにしましょう。そうすれば、先取り貯蓄を崩すことなく、少しずつではあっても貯蓄を増やすことが可能になります。