子どもと取り組む片付けのコツ【第1回】片付けやすい環境づくりとは?

今回から3回シリーズで、『ママと子どもの心地いい収納』の著者でライフオーガナイザーの鈴木尚子さんに、親子で取り組む片付けのポイントについて伺っていきます。今回は、片付けに関する基本的な考え方と、子どもが片付けやすい環境づくりについて取り上げます。



片付けとは、「やりたいこと」を「すぐやれるようにする」準備

収納のアドバイスでお子さんのいるお宅に伺うと、「子どもに片付けられるようになってほしいけれど、自分も片付けが苦手なのでどう教えてよいかわからない」といった声をよく聞きます。しかし、そもそも「片付け」とはなんのためにするのでしょうか。

「片付け」は本来、ものを最も使いやすい定位置に戻すことで、「やりたいことをすぐやれる状態にする」こと。そして、「家族みんなにとって心地よい空間をつくること」です。たとえばお母さんは「時間を見つけて、ミシンでかわいい小物や服作りをする」のが好き。一方お父さんの夢は「休日は家族とキャンプ!」かもしれません。それなのに、テーブルに積まれた学校のプリント類やおもちゃをどけないとミシンが出せないとか、キャンプ用品が押し入れの奥に入っていて見つからないといった状態は、ストレスのもとになります。

つまり「片付け」は、見た目を整えるだけでなく、「自分はどんな暮らしがしたいのか」「自分にとって必要なものは何か」「家族みんなにとって心地よいのはどんな状態か」という、生活の土台となる部分を考えないとうまくいかないのです。これは子どものスペースについても同じことです。

ですから、遠回りに思えるかもしれませんが、子どもに「片付けなさい」と言う前に、ぜひご自身でこの「土台」について考えてみてください。そして、できれば家をもっと居心地のよい場所にするにはどうしたらよいか、家族で話し合ってみてください。「好きな電車の模型をいっぱい広げて遊べる場所が欲しい」とか、「服をしまいたいけれど、引き出しがいっぱいで入らない」など、一人ひとりがしたいことやストレスに感じていることを洗い出し、少しずつ環境を改善していくことも大切です。そうするうちに、家族にとって一番心地よいスタイルが見えてきます。



子どもは、大人より片付けが得意!?

お客さまの家で、お子さんと一緒に片付けをしていると、子どもたちは意外に片付けが上手!と驚くことがよくあります。たとえばものを「選ぶ」こと。大人は、「これは高かったのにもったいない」とか、「これはおじいちゃんが買ってくれたものだし……」などと考え込んで、なかなか本当に必要なものを選べませんが、子どもには大人のようなしがらみがないため、好き・嫌い、使う・使わないが実にはっきりしていることが多いのです。なかなかものを選べない子もいますが、「おもちゃは、この箱一つ分だけね」というように、大人が「枠」を決めてあげれば、しっかりと選ぶことができます。
また、「電車のおもちゃと、電車のお客さん役の人形は同じところにしまいたい」とか、ミニカーをしまう「車のおうち(車庫)を作りたい!」など、収納についてもさまざまなアイデアを持っていたりします。ものの選び方やしまい方には、その子らしさが表れます。「子どもは片付けられない」なんてことはありません。



片付けやすい環境とは?

保護者の役割は、子どもの意思を尊重しながら、子どもが片付けやすい環境を整えてあげること。そして、片付いた空間の心地よさを実感させてあげることです。
片付けやすい環境作りのポイントとして、次の3つがあります。


定量(ものが、「子どもが片付けられる量」になっている)

ものの量が多すぎると、片付けそのものが嫌になってしまいます。「保護者が手伝えば5分程度で片付けられる」を目安に。


定位置(取り出しやすく、しまいやすい「住所」が決まっている)

しまう場所がきちんと決まっていないと、「もとに戻す」ことはできません。子どもと相談しながら、まずは住所の決定を。


定時管理(片付けるタイミングが決まっている)

どんなに大整理をしても、もとに戻さなければあっという間に散らかります。「遊び終わったら」「ご飯の前はお片付けタイム!」など、片付けるタイミングをルールにして「続ける」ことが大切です。

このポイントを頭において、ぜひお子さんと一緒に片付けに取り組んでみてください。

次回は、実際に片付けに取り組む手順と、片付けを続けるための声のかけ方について取り上げます。

『片づけられる子ども部屋 ママと子どもの心地いい収納』『片づけられる子ども部屋 ママと子どもの心地いい収納』
<メディアファクトリー/鈴木尚子(著)/1,512円=税込>

プロフィール


鈴木尚子

アパレル業界で勤務後、ライフオーガナイズを学び、現在は片付けと収納のアドバイスや講演を全国で行う。子どもの片付け方に関する書籍の執筆や、女性誌などでも活躍中。

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