子どもと取り組む片付けのコツ【第2回】「基本の3ステップ」と効果的な声かけ
前回に続き、ライフオーガナイザーの鈴木尚子さんに、親子で取り組む片付けのポイントについて伺います。今回は、子どもと取り組む片付けの実践編と、片付けを続けるための、子どもへの声のかけ方などについて取り上げます。
基本は「選ぶ→しまう→続ける」の3ステップ
前回紹介した片付けやすい環境づくりのポイントを頭において、お子さんと片付けに取り組んでみましょう。物の選び方やしまい方に「正解」はありませんが、基本の3ステップは必ず踏むようにしてください。たとえば、物の全体量を把握する前に「この棚があれば、子ども部屋が片付きそう!」と便利そうな収納グッズを買ってしまったりすると、片付けはうまくいきません。
片付けの基本 3ステップ |
(1)選ぶ |
「続ける」ための声のかけ方
3つのステップの中で、一番難しいのが3つめの「続ける」。そこで大切になってくるのが、子どもへの声のかけ方です。何かに夢中になっている時に「片付けなさい!」とうるさく言っていたら、子どもは片付けが嫌いになってしまうかもしれません。遊びが一段落した瞬間など、タイミングをとらえて声をかけてください。
うちでは、こんな言葉が効果的でした。
(1)「ママとどっちが早いかな?」「何分でお片付けできるかな?」
(2)「いつ片付けようか? ○分になったらやる?」
(3)「終わったらおやつorゲームタイムね!」
(4)「おもちゃがおうちに帰りたいって泣いているよ」
(1)のように、ゲーム感覚でスピードを競うと燃える子もいますし、(4)は感受性の豊かな子に効果的です。(2)は「自分で決める」ところがポイント。(3)のようなごほうび作戦も効果があります。片付けは大人でも面倒なもの。保護者が楽しく片付けるための、きっかけづくりをしてあげられるとよいですね。
また、それ以上に大事なのは、片付けたあとのすっきりした気持ちを子どもと共有することかもしれません。「あーすっきりした」「きれいになったね」「えらいね!」「ママもうれしいな」など、お子さんが片付けられた時に感じたことを、ぜひそのまま言葉にして伝えてあげてください。「子どもを動かす」というより、子どもの「気持ちを動かす」ことができればよいなといつも思っています。
物の「棚卸し」は保護者が手伝って
子どもは、好きな物や今必要なものを選ぶのは得意ですし、戻しやすい位置が決まっていればきちんと片付けることができます。しかし、物の量と収納スペースのバランスを考えて収納家具を買う、すぐ使わないものの管理方法を考えるといった環境づくりは、大人にしかできません。保護者は、片付けやすい環境整備に徹してください。部屋が散らかってきたら、子どもの様子を観察して「最近、これが出しっぱなしになっているけど戻しにくい?」というふうに声をかけてあげましょう。散らかるのは子どもがだらしないせいではなく、何らかの理由があります。
また、成長が著しい時期は、服のサイズもどんどん変わりますし、興味も移っていきます。保護者がよかれと思って買った知育のおもちゃなどにすぐ飽きてしまうのも、成長の表れかもしれません。子どもが着られなくなった服や使わなくなったおもちゃは、早めに子どものスペースから外してあげましょう。子どもはいらないと思っているものについて「もったいない」とか「下の子のために取っておこう」と考えるのは大人の都合ですから、大人が管理すべきです。
子どもが好きな物・必要な物、スポーツにたとえれば「一軍」選手が、すぐ使える状態で子どものスペースにスタンバイしている状態がベストです。保護者のかたは、いわばコーチ役として、ベンチの環境を整えてあげてください。また、まだ使えるものを処分しなければならなくなった時は、また不必要なものを買ってしまわないよう、原因を考えて次に生かすことも大切です。
『片づけられる子ども部屋 ママと子どもの心地いい収納』 <メディアファクトリー/鈴木尚子(著)/1,512円=税込> |