青山メソッドですらすら書ける毛筆上達のコツ 【第3回】文字の形を整えよう

小学3年生から書写の授業で、毛筆の学習が始まります。お子さまは毛筆を苦手と感じていませんか? 美文字王子こと、青山浩之先生に毛筆がうまくなるコツを伝授していただきます。青山先生の「青山メソッド」でコツを理解して、お子さまがきれいな文字を書けるように、手伝ってあげてください。
前回は漢字の部品である「点画」について学びました。今回は実際に文字を書いていきます。



形を整えて文字を美しく見せる 「王」の場合

部品である点画を組み合わせて書いていきますが、美しく見せるためにはその形を整える必要があります。ここでは文字の形を整えるポイントとして、「線の長さ」、「線の方向」、そして「すき間」、この3つについて紹介します。

まず「王」という字を例にとって、線の長さについて見ていきます。
1本目と2本目の横画はほぼ同じ長さです。そして3本目が長い横画になります。3本のうち1本だけが長いのを「一画強調」といいます。
王という字は3本の横画と1本の縦画で構成されています。

最初の横画と縦画を書きます。
2本目の横画を、最初の横画に近い長さにします。
最後の横画を1.5倍程度長く書きます。



線の方向にも気を配る 「友」の場合

続いて、線の方向についても見てみましょう。
「友」という字の左はらいに注目してみてください。左はらいが2つあって、その間がだんだん狭くなっています。これが友という字の特徴です。
友と反対なのが「冬」という字です。同じように2本の左はらいがありますが、その先は広がっています。左はらいが字の下のほうにある場合は狭くなり、字の上のほうにある場合は広くなるというきまりがあります。
それでは友という字を書いてみます。

まず、横画があり、そして1つ目の左はらいです。
その後、折れから2つ目の左はらいです。
この時、はらいが1つ目よりさらに左に向きます。


線の長さや方向をしっかり意識すると、きれいな字が書けるようになります。
漢字にはそれぞれ特徴があります。手本を見た時に線の長さや方向に注目することで、
その文字の特徴を的確にとらえることができます。



文字の特徴をとらえよう 「春」の場合

たとえば「春」という字が課題として出されたとします。手本を見て、まず注目するのは3本の横画です。一画強調で3本目が長くなっています。このとき、横画の方向にも注目してください。3本ともやや右上を向いています。左はらい、右はらいは、一画強調で長くした横画よりも、さらに外側に長くはらいます。そして下のの部分。2つの縦画の長さと方向に注目します。右のものがやや長くなっています。向きは2本とも真っすぐです。

毛筆で書く時、まず、1回書いて手本と見比べます。そして手本との違いを意識して2回目を書きます。そうしたら、また手本と比べて違うところを探してください。これをくり返すことできれいな字が書けるようになります。このように、微妙な線の長さや、方向の違いが、文字の形を特徴付けています。手本を見る時に、この2つに注目してみてください。


毛筆学習がはかどる工夫 「水書き用紙を使ってみよう」
くり返し練習するのに便利なのが、筆に水を付けるだけで字が書ける水書き用紙です。
準備も簡単で、周りを汚す心配も少なく、水が乾けば字が消えるので、くり返し練習することができます。
点画を練習したり、下書きとして書いたりする時などにとても便利です。
こういったものを使ってみるのもいいでしょう。




プロフィール


青山浩之

横浜国立大学 教育人間科学部教授。全日本書写書道教育研究会理事、全国大学書写書道教育学会常任理事。全国の小・中・高校の「書写」「書道」の授業の指導方法や、教員の育成など、「書写・書道教育」全般を研究するほか、講演活動やテレビ出演など多方面で活躍中。

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