道徳が「特別の教科」に格上げ 求められる家庭での取り組み

道徳が「特別の教科」に格上げ 求められる家庭での取り組み中央教育審議会が、小・中学校の「道徳の時間」を「特別の教科 道徳」(仮称)に格上げするよう、下村博文文部科学相に答申した。正式な教科として授業が始まるのは、教科書の発行を待って2018(平成30)年度からとなる見通し。現在の道徳教育の課題などについて、教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に聞いた。

 

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今回、「特別の教科」とされたのは、道徳の授業が学校の全教育活動の中で行われる道徳教育の「要」でもあるという、特別な性格を持っているからです。教科書が発行されるまでは、文部科学省著作の教材「私たちの道徳」を使用し、先取り実施を行うことになっています。

 

答申は現在の「道徳の時間」について、「道徳教育の特質を生かした授業が行われていない場合がある」「発達段階が上がるにつれ、児童生徒の受け止めがよくない」などと指摘。教科書をしっかり使い、学年別の目標や内容について、子どもを取り巻く環境の変化も踏まえ、体系的で効果的な示し方を工夫すべきだとしています。具体的には「正直、誠実」といったキーワードを活用して考えさせたり、情報モラルや生命倫理といった現代的な課題の扱いを充実させたりします。

 

文科省の調査によると、既に配布されている「私たちの道徳」は小学校の99.5%、中学校の98.4%で使用されていますが、下村文科相は「学期に1回しか使われていないなど実態と乖離(かいり)している」と見ています。また、家庭や地域と連携した道徳教育を進めるため、文科省は、「私たちの道徳」を家庭に持ち帰らせるよう教育委員会などに通知を出しています。しかし、持ち帰りを指導していない学校もありました。

 

下村文科相は「道徳は第一義的には保護者が教育に責任を持つものであり、『私たちの道徳』も保護者に読んでいただきたい」と話しています。家庭や地域での活用事例も盛り込んだ教師用指導資料も作成される予定で、道徳教育の強化は学校の中だけにとどまる話ではないようです。

 

出典:教科「道徳」2018年度から それまでは「私たちの道徳」持ち帰りも -ベネッセ教育情報サイト

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