東日本大震災後に急増 コミュニティ・スクールが約2,000校に
保護者や地域住民が学校運営に参画する「コミュニティ・スクール」。文部科学省の調査によると、スタートした2005(平成17)年度は全国で17校、2011(平成23)年度でも789校しかなかったが、2012(平成24)年度には1,183校と急増し、2014(平成26)年度には1,919校にまで増えている。増加の背景について、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏に話を伺った。
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コミュニティ・スクールとは、教職員・保護者・地域住民などから成る「学校運営協議会」が教育の基本方針・教育課程・学校予算などの承認権、教員人事に関する意見具申権などを持つ学校のことです。文部科学省は、2016(平成28)年度までに、公立小中学校の約1割に当たる3,000校をコミュニティ・スクールにする、という目標を掲げており、今のペースでいけば目標数の達成も実現しそうです。
コミュニティ・スクール急増の背景には、2011(平成23)年3月11日の東日本大震災の影響があると言われています。震災で学校が住民の避難所として大きな役割を果たしたことから、「地域と共にある学校」が見直され、地域と学校の連携を図る方策としてコミュニティ・スクールが評価されたことが、急増の大きな要因といえます。
ただし、増加はしているものの、公立学校すべてをコミュニティ・スクールに指定する自治体が多いため、全国的に見れば一部の市町村に偏っているのも事実です。今年度から教育委員会の判断で自由に土曜授業ができるようになり、地域・保護者・地元民間企業などと連携した学習活動など、コミュニティ・スクールのさらなる拡大が期待されています。
コミュニティ・スクールの「学校運営協議会」は法的に大きな権限を持っていますが、実際は保護者や地域住民による学校支援などに重点を置いた「学校応援団」的な取り組みをしているところがほとんどです。強い権限を持つ本来のコミュニティ・スクールの理念は、拡大とともに大きく変質しつつあるといってよいでしょう。