さまざまな「ボランティア活動」について知り、助け合う力や問題を解決する力をつけよう

大きな災害が発生したあとでは、支援や復興のためのボランティア活動が大きな力を発揮します。被災地に行って直接サポートをする他に、必要とされている物資を送る、募金に協力するなど、ボランティア活動にはさまざまな形があります。また、災害関連の活動以外では、身近な地域の公園の清掃や福祉施設の訪問などもそのひとつ。このような「ボランティア活動」について知り、困っている人たちや社会のためになることをしようという思いを育てたり、問題の解決方法について思いを巡らせたりする経験は、これから成長していく子どもたちにとっても大切なことです。そこで、今回は「ボランティア活動」について考えてみましょう。


クイズde基礎知識

時事問題を学ぶきっかけになる題材をクイズ形式でご紹介します。基本情報の整理に、親子で時事問題について話題にするきっかけに、入試・適性検査対策に、お役立てください。

被災地からの要望で実現したあるボランティア活動とは?/「自己完結型」ってどういうこと?/パピーウォーカーって何?


Q1

2011(平成23)年4月6日、佐賀県武雄(たけお)市と市民団体(NPO)が、東日本大震災の被災者を助けるために、あるボランティア活動を市民に呼びかけました。それは何を受け入れるボランティア活動でしょうか?


A. 被災地のがれき
B. 被災地の農作物
C. 被災者のペット


A1 正解は 「C. 被災者のペット」 です。

武雄市では、東日本大震災発生直後から被災者を市内に受け入れる「武雄市タウンステイ構想」を進めていました。その中で、ペットを飼っていた被災者から、避難所へのペット同伴を禁止されて困っているなどの声を聞き、そのような飼い犬を一時的に受け入れるボランティアを市民に呼びかける「武雄被災ドッグ(ペット)受け入れ構想」に取り組むことになりました。

その他、東日本大震災では、被災地や全国各地で次のような「災害支援ボランティア活動」が行われています。
(被災現場で)
泥・がれきの撤去、津波に流され汚れた写真などをきれいにする など
(避難所で)
生活支援、炊き出し(温かい食べ物を作って提供する)、足湯の提供 など
(全国各地で)
義援金の募集、被災者の受け入れ(住まいの提供)、食料食糧や衣類などの提供 など


Q2

東日本大震災では、災害支援ボランティア活動として被災地に向かう際、多くのケースで「自己完結型」であることが求められています。どういう意味でしょうか?


A.現地で自分一人で行動すること
B.自分の食料や宿泊場所などを自分で用意すること
C.被災者と直接話したりするのを避けること


A2 正解は 「B.自分の食料や宿泊場所などを自分で用意すること」 です。

1995(平成7)年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、3か月でのべ100万人以上の災害支援ボランティアが被災地を訪れたといわれます。この震災でのボランティア活動が注目されたことをきっかけに、災害時におけるボランティア活動の認識を深め、災害への備えの強化を図ることなどを目的として、毎年1月17日が「防災とボランティアの日」、1月15日~21日が「防災とボランティア週間」と定められました。
阪神・淡路大震災でのボランティア活動は、復興に向けて大きな力を発揮した一方、災害支援のボランティア活動の在り方について課題も残しました。ボランティアが何の用意もなく被災地に入ることで、現地のボランティアが、訪れたボランティアの生活をサポートすることになるなどの問題も生まれたのです。その反省から、自分で食料や水を用意し、バスを使ってまとまって来ることで宿泊場所の手配の必要をなくすなど、自分のことはすべて自分で行う「自己完結型」のボランティア活動が求められるようになりました。


Q3

ボランティア活動は災害などの緊急時だけでなく、さまざまな目的での取り組みがあります。そのひとつ「パピーウォーカー」とは、どのようなことをするボランティアでしょうか?


A.お年寄りと一緒に散歩する
B.盲導犬候補の子犬を育てる
C.お父さんに感謝の気持ちを示す


A3 正解は 「B.盲導犬候補の子犬を育てる」 です。

パピーウォーカーとは、盲導犬候補の子犬を、生後2か月ごろから1歳になるころまでの約10か月間、家族の一員として迎え育てるボランティア活動のことです。パピーウォーカーのもとで、子犬は人間と一緒に暮らし、いろいろな場所に一緒に出かけたりする体験をし、人間と生活する喜びを知り、盲導犬として必要な「社会化」につなげることが目的です。

「災害支援」や、パピーウォーカーのような「高齢者、子ども、障がいのあるかたへのサポート」の他、ボランティア活動には次のようなさまざまな取り組みがあります。


  • 収集…使用済みの切手やテレホンカード、衣類、毛布などを集め、ボランティア団体などに渡す
  • 募金…自治体や学校、団体が主催する募金などに協力する
  • 環境保全…ごみ拾い、植樹、公園や道路沿いの清掃など
  • イベントへの参加…チャリティーバザーやフリーマーケットなどでいらなくなったものを売る、または買い物をする、地域のお祭りのお手伝いをする
  • 高齢者、子ども、障がいのあるかたのサポート…福祉施設の訪問、幼児の遊び相手、点字の点訳、手話通訳など
  • 国際交流…外国の人との交流、日本文化を伝えるなど
  • 災害支援…台風や地震などで被害を受けた地域でのお手伝い、生活用品や食料品などの送付
  • その他…地域文化の伝承、献血、動物愛護、交通安全活動など

Q4

空腹のまま学校に通っている60か国の約2,200万人の子どもたちに給食を届けるには、一人の子どもの1年間分でおよそいくら必要でしょうか?(2010年5月現在)


A. 約5,000円
B. 約10,000円
C. 約25,000円


A4 正解は 「A. 約5,000円」 です。

世界に目を向けて行われているボランティア活動もあります。学校へ通うことができず、学校に行っても食事をとることができない子どもたちに、学校給食を支給する活動が、WFP(国連世界食糧計画)が行っている「学校給食プログラム」です。こうした活動を行っている機関に寄付をすることも、身近なボランティア活動の一つです。この活動によって、空腹が満たされるだけでなく、親が子どもを学校に通わせるようになり、就学率と出席率が著しく向上したという成果もあります。

また、私たちの身近なところでできるボランティア活動「収集」でも、世界中の困っている子どもたちを支援することができます。ボランティア団体に集められた、書き損じハガキや余った年賀状、使用済みの切手やプリペイドカードなどは、各団体独自の方法でボランティア団体の活動資金に使われたり、支援活動の資金となったりしているのです。



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