もうすぐお泊まり行事! どうする子どものおねしょ(夜尿症)対策(2)生活改善編

「いつか治るはずだから、様子を見よう」と考えていたお子さまのおねしょ。しかし、気付いたらお泊まり行事が迫り、焦りを感じている保護者のかたもいらっしゃるのではないでしょうか。前回に引き続き、夜尿症の専門医である昭和大学藤が丘病院の池田裕一先生に、病院を受診する際の注意点や夜尿症に効果的な生活改善の方法について伺いました。



夜尿症に詳しい医療機関を受診しましょう

夜尿症を治したいと思ったときに、近くの小児科や泌尿器科にしようか、それとも大きな大学病院や総合病院にしようかと、どの医療機関を受診すればよいか迷ってしまうかたも多いと思います。夜尿症ナビ(運営:協和発酵キリン)などを参考にして、夜尿症に詳しい医療機関を受診することをおすすめします。
病院では、まずお子さまの状態を確認するために、尿検査と問診を行います。尿検査を行うのは、膀胱(ぼうこう)炎や腎臓病といった病気が潜んでいるかどうか調べるためです。何か異常があれば、血液検査や超音波検査など詳しい検査を行い、専門的な治療が必要であれば、大学病院など二次医療機関を紹介してくれるでしょう。



最低でも4か月前に受診して

当院にも、「宿泊行事があるから、どうしても治したい」と来院されるかたは多いです。ただ、夜尿症をすぐに治すのは難しく、100%効くというお薬もありません。お子さまに合った治療をアドバイスするためには、少なくとも4か月前、なるべくなら6か月以上前に受診することをおすすめします。
短期間で、夜尿がまったくなくなるのは難しいですが、回数を減らせる可能性はあります。当院の患者さんのデータをご紹介しますと、夜尿が週に半分以下(3日以下)のお子さまであれば、1泊の宿泊合宿なら80%の確率で夜尿をせずに済んでいます。夜尿症に詳しい専門医では幼児から高校生までたくさんのお子さまの相談に乗っていますから、恥ずかしがらずに受診してほしいと思います。



1か月は生活改善で様子を見ます

膀胱炎や腎臓病など病気の可能性がない場合は、まず生活改善の指導を行います。当院で指導しているのは下記のとおりです。ぜひ参考になさってみてください。


生活改善のポイント

(1)規則正しい生活をするようにする
休日も含めて早寝早起きをする。夕食は寝る2~3時間前に食べるようにする。

(2)水分・塩分・糖分の摂り方に注意
水分は朝食時や昼食時にたっぷり摂り、夕食時から就寝まではコップ1杯程度(200mL)までにする。ラーメンやお鍋、スナック菓子など塩分の摂り過ぎは、のどの渇きから水分の摂り過ぎになり、利尿作用があるため、できるだけ控える。また、糖分・果糖などにも利尿作用があるため、デザートやヨーグルト、また果物の摂取もできるだけ控える。

(3)冷えから守る
体が冷えることで膀胱の緊張が高まり、おしっこが出やすくなる。冬場は就寝前に体を十分暖めてからお布団に入り、夏場でもお腹が冷えないようにする。

(4)寝る前の排尿習慣をつける

夜寝る前に必ずトイレに行かせる。少ししか出ないようであれば、もう一度トイレに行かせる。

「生活改善で夜尿症が治るの?」と半信半疑のかたも多いと思いますが、生活改善の取り組みだけで、子どもの約2~3割は夜尿をしなくなることがわかっています。就学前のお子さまでおねしょが気になる場合は、まずは上記の生活改善に取り組まれるとよいでしょう。



就寝時の工夫

就寝時にパンツを履かせるべきか、オムツを履かせるべきか迷う保護者のかたはいるかもしれませんが、まだお子さまが小さく毎晩おもらしをしてしまうならば、本人が自覚して尿を抑制するのはまだ難しい状態だと考えられます。その場合、本人が嫌がるようでなければ、「大好きなサッカーの合宿に行くために、ママと一緒にがんばろう」などと説明し、オムツを着用してもよいと思います。回数が少なくなってきたらパンツにしてあげるとよいでしょう。


次回は、夜尿症における最新治療法についてご紹介します。

プロフィール


池田裕一

昭和大学藤が丘病院小児科准教授。小児科専門医。腎臓病専門医。専門分野は、小児腎臓・膠原病・夜尿症。「おしっこトラブルどっとこむ」を開設し、おねしょやおもらしでお困りの数多くの保護者からの質問に回答している。

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